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鬼頭真琴の場合その2 23


第四十八節


「で、結論。…あたしはやっぱり無理だわ。ごめんなさい」


 ぺこりと頭を下げる美夕。


「そうか…」

「でも別に嫌いになったからとか、大ゲンカしたからとかじゃないから」

「…」

「別れるからって大ゲンカしなきゃいけない訳じゃないでしょ?なんつーかこう…円満別れ…みたいな。いいよね?橋場くん」


 考えている橋場。


「…分かった」

「ちょっとゴメン」


 なかなか神妙な雰囲気にさせてくれない真琴。


「じゃあ、ひでちゃんとあたしは付き合ってもいいってことかな?」

「…どうぞご自由に。てかあたしの許可とかいらないでしょ。もうフリーなんだから」

「だってさ」

「…条件出させてくれるんならいいかしら?」


 美夕からの申し出だった。


「そりゃもう」快諾する真琴。

「きとう…さん?あたしと友達になってよ」


 しばし沈黙。


「美夕?」

「別に嫌いあって別れた訳じゃないもん。恋敵ってんならともかく、友達のカレシの話聞かせてもらうくらいいいでしょ?」


 何だか妙なことになってきた。


「いいけど条件があるよ」

「…何?」

「友達だってのに「きとうさん」はカタいよ。「まこと」とか「まこちゃん」とかそういうので呼んで」


 にこにこしている真琴。女の子みたいだ。女の子だが。


「…じゃあ、…まこと」

「あいよ!みーゆ」


 一瞬の間があって破顔する三人。



第四十九節


「じゃ、そういうことだから」

「すまん」

「あーすまんとか無し無し!分かってる?あたしらクラスメートなんだよ?毎日同じ教室で顔合わせんの!その度にギスギスじゃあお互い辛いでしょうが。でもあたしと…まことが友達でしょっちゅう連絡とりあってんだったら別にクラスで話したりするのに罪悪感とかいらないでしょ?」


 確かにそうだ。


「そうだな」

「要するにあたしのため!自分のためだからこれは!」


 頬を赤らめてぷいと視線を逸らしてしまう。照れてやがる。


「あたしって男の子と付き合ったことないから自分が嫉妬深いかどうかとかぜーんぜん分からんけど、美夕と話すぶんにゃあ安心だから存分に話してていいよ!ひでちゃん!」

「そ、そうだな…」


 何だか橋場のあずかり知らないところでドンドン勝手に話が進んでいる。


「まこととあたしが一緒に遊びに行くとかもありなの?」

「ありあり!ありだよー!ったり前じゃん!行こ!行こ!何処(どこ)行くどこ!?」


 真琴が興奮している。


「(苦笑して)ま、その内ね。今日は疲れたから帰る。拉致監禁されたり色々あったから」


 さらりと言う美夕。


「カレシがしょっちゅう女の子になって服も女物に変化しちゃう体質じゃなきゃねー。なんちて」


 語尾が少し震えている。泣くのをこらえている様だ。

 …次の瞬間だった。


「いよーう!はーしばちゃーん!元気してたぁあーあ!?」


 橋場は素っ頓狂な声と共に背中をドン!と押された。


「うわわわわわわっ!」


 橋場の肉体は一瞬にして妙齢…二十代半ば…と思われる大人のグラマラスでセクシーな美女のそれとなり、着ていた何の変哲もない普段着もまた一瞬にして鮮やかな朱色に金色の刺繍に彩られ、大胆なスリットが脇腹近くまで到達しているワンピースドレスとなっていた。


「こ…れは…」


 声もすっかり女になっている。

 ドレスと同じ朱色のハイヒールでよろめくと同時に耳元に重さが掛かり、チリチリと金属音がする。


 そこにいたのは一瞬でセクシーなチャイナドレス姿の美女に成り果てた橋場英男…だった存在…だった。



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