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鬼頭真琴の場合その2 17


第三十四節


「だから、どれだけ身の危険を感じたとしても相手を女にして切り抜けたり、ましてや自分の快楽の為にいたぶったりすることはできないから」


 …そもそも戦闘・移動系の能力を奪われ、その上男から女に…それも魅力的な年頃の少女に…されて「襲われる」危険性が高くなり、それでいて体力も低下、体格も貧相に…かてて加えて「最後の自衛手段」になりえそうな「相手を性転換・女装化させて操る」能力まで無くなってしまうとなると…。

 これから先、乱暴な男に性的なことを強要されたとしても逃れるすべはないと言うことに他ならない。


「…過酷だな」

「全然。世の女の子と同じ条件ってだけだよ」

「…そうだな」

「ぶっちゃけ今のこいつより可愛くない女の子なんてザラにいるわ」


 …申し訳ないがそれには同意せざるを得ない。真琴の趣味なのか「ロリ巨乳」気味の美少女なのだ。

 こうなると80年代のマンガから抜け出してきた様な…ってあんまり読んだことないけど…セーラー服の浮世離れぶりが似合っている。


「で、最後の条件ね。この能力の解除条件は無し。解除出来ません」

「え…」


 流石に声が出るセーラー服美少女。


「解除条件が無い代わりに、持続時間を設定するね」


 一定時間が経過するまで…ってことか。時限式の発動条件の応用だ。なるほど。


「一週間…」

「…っ!!!」


 大きく目を見開いている。それはそうだろう。こいつがどんな生活を送ってるのか知らないが、女のまま一週間過ごせなんて。


「なーんてね、うそうそ」


 明らかに安堵する長い髪の下の可憐な表情。…悔しいが可愛い。


「一か月」


 またビックリする表情。くるくると変わる。


「一週間くらいなら自分の美少女っぷりを楽しんでればいいけど一か月とかなると大変だよ~。冷え症にもなるし、便秘にもなるし…なんつっても「月のもの」がね」


 …それは正直考えていた。橋場とて年頃の男だから「女になったらどうなるか?」くらい考えたことはある。一番面倒くさそうなのがそれだ。

 妄想で子供を産まされるときに痛いだの大変だのはそういうもんだろうから覚悟できるけど、子供も産まんのに毎月体調不良とかカンベンして欲しい。



第三十五節


「なーんちゃって、嘘だよウソ!一か月なんてそんな訳ないじゃん」


 仕草も女性的に操られているらしく、祈るように両手を身体の前に合わせて震えているセーラー服美少女。


「三か月!かな」


 さ、三か月かあ…。

 自分がその立場におかれたシチュエーションをイメージするが…全く分からない。少なくともそれだけの期間、毎朝起きたらパンティ履いて、ブラジャーして、スカート履いて、髪をいて…ってな生活をし続けて男にちゃんと戻れるのか自信が無い。

 そもそも2~3日ならともかく、それだけの期間の「着替え」「普段着」を一体どうすればいいのか。


「いや、大負けに負けて六か月にしてあげよう!半年ね」

「ちょ、ちょっと!」


 思わず声を掛ける橋場。


「あによ」

「半年って本気か?社会生活が崩壊するぞ」

「無罪放免しろっての?」

「そういう訳じゃないけど…」

「ひでちゃん甘いよ。今回は無事で済んでるけど、綺麗なドレスで貫通されてたとしてもそれ言える?」


 この間のシチュエーションのことだ。ちょっと考えようとして身震いがするからやめた。女の経験も無いのに女として経験するなんぞまっぴらだ。


「…確かに」

「でしょ?」


 舐め上げられたわきの下の感触が蘇る。


「気が変わったわ。あんたの女期間は1年で!」

「…伸びてる」


 橋場は思わず季節のことに思いが至っていた。

 1年ってことはここから春夏秋冬、季節が一巡するってことだ。今着せられているのはセーラー冬服なんだが、このまま衣替えの季節になったら夏セーラーとか着るのだろうか。

 ジャージとか、スクール水着とかも…というかそもそも女子高生として高校通うわけもないか。


「よし!…それじゃあ…3年で行っとこうか!」



第三十六節


「ちょ!おま…!」

「軽すぎたかな?」


 3年って…もう全く想像が付かない。今橋場は高校生だが、3年といえば中学に入って卒業するまでの期間であり、高校に入って卒業するまでの期間だ。

 当たり前だが、慣れぬ異性になった挙句にその年月なんて何もかも理解の外だ。


「…いや」


 橋場は言い直していた。

 こいつが仮にちょっとした偶然で不幸にも能力を発動させてしまった気の毒な被害者であるならば過酷過ぎるとも言えるが、こいつはメタモルファイトの仕組みを知り抜いた上で“悪用”していたのだ。

 実際に美夕が強姦されたかもしれないのである。

 そして今もまた再びだ。

 反省も何もしていない。


「俺からも質問いいかな」

「どーぞどーぞ」


 真琴が楽しそうに促す。


「…今まで何試合くらいメタモルファイトした?」

「…」


 きゅっと唇をかんで答えない。


「答えなさい…よっ」

「きゃああああああーっ!」


 ぶわりとスカートがめくれ上がる。

 …スカート能力系メタモルファイターの定番行動だ。


「…覚えて…ない…」


 どうにかそれだけ絞り出すセーラー服美少女。


「大雑把でいい。十試合くらいか?」

「…多分そんなもん」

「ひでちゃん?どうして知りたいの?」

「いや、こいつがどれくらい他の格好したことがあるのかと思ってね」

「ああそういうこと」

「…」


 やはり唇を噛んで耐えている。きっと負けた経験を語りたくなくて必死に精神的抵抗を試みているのだろう。


「いいから言いなさい?このまま街中でストリップさせるよ?」


 能力で操って喋らせることも出来そうなんだが、敢えて自ら語らせてる。…これはかなりのSだな。



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