表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/62

鬼頭真琴の場合その2 16


第三十二節


「いい質問だね。ざっくり言うと、メタモルファイトの開始に合意を必要としないタイプってのは実在するのね」

「…まさか…それがお前ってこと?」

「うん」


 こともなげに言う。


「でも、昨日はお互いに合図して始めてただろうが」

「そりゃ、能力は秘密にするもんよ」

「特殊系…か」


 ウーとあの見つめるだけで遠距離攻撃が出来るチンピラに次いで、三人目の特殊系との遭遇だ。


「あたし自身は特殊系だなんて思ってないけどね。能力の発動だって接触型だし」

「触らないといけないのか」

「うん」

「そして、条件やら何やらも相手の合意を一切必要としません。ま、精神的に抵抗は出来るけどね。させないけど」


 目をぎょろぎょろ見開いて橋場と真琴を見比べているリーゼント。こんな恐ろしい状態はあるまい。


「…ちょっと待て。相手を変身させずに完全にコントロール下に置くことって可能なのか?」

「なんか難しいみたいだけど、あたしは一応出来るよ。相手のレベルが低い場合はなおさら」


 リーゼントの立場が無いが、彼が日々研鑽をつんでいるとはとても思えない。


「可能だってのか」

「ひでちゃんに限らないけど、練習したことが無いのにいきなりは難しいと思う。一般人相手ならやることそのもののハードルは下がるけど、性転換&女装を先にやった方が精神的に抵抗力が減るから楽は楽みたいね」


 なるほど。


「で…こうやって『変身タイミングはずっと後で』ってやれば精神コントロールだけを効かせることは可能な訳だ」

「…まさかとは思うが、自傷行為なんかは…」

「あ、それは無理」


 こともなげに言う。


「試したことは無いけど、『あいつを殺せ』みたいな後催眠同然の命令は多分無理。あくまでも「変身後に無理のない」挙動なら可能ってこと」

「無理のない?」


 返事をする前にリーゼントに向き直る真琴。


「一回触ってるからね。ではいきます。…女子高生になぁれ!」

「わあああああっ!」


 ぼうん!と煙が上がったりはしないが、正にそんな雰囲気だった。


「あ…あ…」


 くりっとした瞳に長い長い黒髪。膝丈の漆黒の上着にスカート、純白の三本ラインと、そして今度は真っ白なスカーフである。

 こってこての「セーラー服の女子高生」である。


「ひでちゃんのところとはスカーフの色変えてみたわ」

「…お気遣いどうも」



第三十三節


「無理なく命令できるってのはこのくらいよ。はい、その場でぐるぐる回って」

「あ…あああ…あっ!」


 言われるままにその場でぐるぐる回り始める“女子校生”。プリーツスカートがぶわりと釣鐘の形に広がる。


「はい終わり―。じゃあ、あたしたちの方に向かってスカートの中見せてもらおうか。」


 恐ろしいことをさらりという。


「え…あ…はい」


 顔を真っ赤にしてもじもじする様子からは先ほどのリーゼントの面影は無かった。

 正面に立って、長いスカートをじわじわと持ち上げていく。

 途中で白いスリップが邪魔でパンティ部分が見えないことに気が付いたのか、改めてスカートを鷲掴みし直し、スリップごとじわじわと引き上げていく。


「ストップ!もおいい!ここまで!」

「えー、ここからがいいところなのにー」

「…十分分かったから」


 これじゃまるで未成年者を使ったストリップ・ショーだ。ぶっちゃけそれ以上のことも散々してきた橋場ではあったが、二人の女性ギャラリーの前で気軽に観賞する内容でもない。


「…ま、こんなところ。じゃあ、仕上げをやるからよく聞いてて」


 すたすたとこの場唯一のセーラー服の前に歩み寄る真琴。

 身長が逆転している上に、姿かたちはまるでお互いの性別が逆転したかの様だ。まあ、真琴の方は幾ら少年に見えなくも無いったって十六歳の女子高生だ。せいぜい「紅顔の美少年」と言うところである。


「名前も知らないけどリーゼントのにーちゃん」


 目の前にいるのはリーゼントではなくてストレートロングだし、にーちゃんでもないが。


「自衛にしか使えないから一般人の犠牲者はそれほどいなかったとは思うけど、メタモルファイター相手にイカサマで勝ちまくるとかないわー。聞く気もないけど、今まで人質にとった一般人をナイフで傷つけたこともあったでしょ?間に合わなかったりしてさ?…まあ、それも過ぎたことだから今はどうでもいいわ」


 仕草まで操られているらしく、おしとやかに両手を正面に持ってきて重ね、上目づかいにその言葉を効かされている元・リーゼントだが、その(おび)えは橋場にも伝わってきた。一体これから何をされるのか?


「まず、これからあなたは変身を解くまで…つまり今の状態では一切のメタモル能力を使うことが出来ません」

「…っ!!!」


 目を見開くセーラー服美少女。


「驚異的な素早い動きも、攻撃力も、防御力も一切ありません」

「…」


 なるほど…と橋場は思った。


「当然メタモル能力も無いからメタモルファイトをすることも出来ません。新しく受けることで今の状態を解除することも出来ません」


 ひくひくしているセーラー服。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ