鬼頭真琴の場合その2 03
第五節
「で?どうなったの?」
ここは橋場の自室である。
夕方のひと時、遅れて合流した美夕を連れ込んである。
「ひとしきり楽しんだと思ったらすぐに解除しちまった」
先ほどの様子を美夕に報告している橋場。
下手に密会するのではなくて、全部つまびらかにした方が却って疑いを抱かれない…という判断だ。
「時間にして何分くらい?」
「十分も無かったかもしれん。スカートの中で素脚をすりすりさせたり、色々してたけど「イライラする!」「落ち着かない!」とか言ってすぐに戻しちまった」
鬼頭真琴を橋場の能力によってセーラー服姿に変えた時の話をしている。
「男の子みたいだね」
「きっとそうなんだろ。着なれてないって意味じゃさ」
しばし沈黙。
「あたしは中学高校とも制服スカートだし、別に嫌いじゃないから」
ベッドに隣り合って座っている二人。これは何のアピールなのか。
「うん」
何となくいい雰囲気になる二人。
至近距離で見つめ合う。
エアコンが効いていて空気が気持ちいい。
お尻部分が密着している。
「美夕…」
「…」
名前を呼ばれたことで突然照れたのか視線を逸らし、次に上目づかいになる美夕。可愛い。
第六節
ぞろっとした美夕のセーラー服…ではなくて、一旦自宅に帰って私服に着替えて来てもらっている。
膝下まである白を基調としたゆったりしたスカートだ。
この間秋葉原で着せられたのと似てるな…というとまた揉めるのでそれは黙っておいた。
思い切って反対側の肩に手を乗せて抱き寄せてみる。
「…っ!」
一瞬びっくりした表情をするが、すぐに頑張って力を抜いてこちらに身を任せてくれる美夕。
美夕が目を閉じた。
ストーカーを倒すために声を掛けた日からいろいろあったが、遂にこの日が来たらしい。
キスをする橋場。
生暖かく柔らかい唇同士が押し合い、少し唾にぬれた。
「…」
背中に回した手をぎゅっと抱きしめる。
胸の奥に何やら湧き上がり、思い切って美夕側に倒れ込んだ。
「きゃっ!」
小さく悲鳴を上げて仰向けに倒れ込む美夕。
ばふん!と布団が空気を押し出す。
髪を四方に広げて見上げてくる美夕。
前開きのボタンになっている上着をもどかしく一つ一つ外していく橋場。手が震えてしまっている。
「…?」
小さな違和感が襲ってきた。
一瞬手が止まるが、それでも外し続ける。
「…??」
また違和感だ。しかもこれ、何だか覚えがある感覚だぞ?
「…どうしたの?」
不安を察して美夕が声を掛けてきた。




