朝原 至の場合 08
第十五節
その場にへたりこむ幼稚園の制服姿の幼女…斎賀健二の変わり果てた姿である。
「ほーら!」
「きゃああああっ!」
抱え上げられる斎賀。
てっきり朝原と同じ程度の小学生にされたのだとばかり思っていたが、遥かに小さな幼稚園生だ。おむつが取れたかどうか…は言い過ぎにしても、か弱い女子高生に抱え上げられてしまうほど小さくされていたのだ。
「じゃー約束のスキンシップね」
「え…」
目の前に朝原の顔が迫る。
…といっても、うっとりするほどの美少女だ。吐息すらも甘い。
「ほっぺたすりすりすり~!」
「きゃああああああ~っ!」
約束通り、女子高生となった朝原は幼女となった斎賀を目一杯可愛がった。
ほっぺたをすりすりさせあったり、頭をなでたりと他愛も無いものではあったが、自分よりも遥かに大きな相手に自由を奪われている恐怖の方が大きい。
しまいには、服の上からとはいえ自分のおっぱいに顔を埋めさせてくる。
「ほら~おっぱいだよ~なんちゃって!」
帰宅途中のサラリーマンとおぼしき中年男性がちらちらこちらを見ながら通り過ぎていく。
これがおっさん…いや、斎賀の元の姿の男子高校生だったとしたとしても、幼女をもてあそんでいる段階で通報ものであろう。
だが、可愛らしい女子高生が幼女を愛でるのを通報する通行人はいなかった。
第十六節
「…恐ろしい能力だな」
「…そうかもね」
電車に並んで座っている二人。斎賀と朝原。当然二人とも元の姿に戻っている。
朝原は携帯用ゲーム機をしながら斎賀に会話を合わせている。
「…いつからやってる?」
「一年前くらいかなあ」
全くゲーム画面から目を逸らさない朝原。
「今まで何試合くらいした?」
「ん~他流試合は二十位かな」
「全勝…だよな」
「戦えればね」
「戦えれば?」
「受けてくれない人もいたから」
なるほど、既に用心深くなってるのもいるわけだ。
「どんな格好した?」
「やっぱりそれ聞くんだ」
「そりゃ…な」
十六歳である斎賀に言えることなのかどうか分からないが、やっぱり年長者として気になる。
「別に。色々だよ」
「今日みたいな制服は?」
「結構あるね。ボクの場合、能力を受けた方が有利になっちゃうんだけど、それを理解しない人が多いよね」
「…」
反論できない。実際それで墓穴を掘ったに等しいのだ。
「お姉さん好きだからCAさん嬉しかった」
「それってもしかして…パイロットのおじさんと戦わなかった?」
「そうだけど…知ってるの?」
「多分ね」
飛田だ。
間違いないだろう。
あのおっさん…俺らみたいな若造ならまだともかく、こんな幼稚園児に毛が生えたみたいなのを「大人の女」にして「凛々しいのにセクシーコスチューム」みたいなの着せてやがるのか。何つー趣味だ。
「結果は?」




