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盛田出人の場合その2 05


第九節


「違うってのかよ」

「そんな訳があるかー!」


 いきなり怒鳴られてしょぼんとしている盛田。


「はぁ!?何だって?特殊能力でおっさんを女子高生にしただと!?」

「だってそうとしか考えられんだろうが」

「一体どうすりゃそんな推理になるんだよ!」

「可能性を全て排除していけば、残った事実はどれほど非現実的でも真相だ」

「それにしたって限度があるだろうが限度が!男が女になったりするか!」

「いやしかし…」

「お前がオカルトマニアだってのは本当みたいだな」

「だってさあ…」

「遺伝子異常で後転的に女性的な身体的特徴が急激に発現する例はままあるらしいが、それにしたって数週間や数か月掛かってじわじわ変わっていくのがせいぜいだ。たった一晩ででかいおっさんが可憐な女子高生になっちまうなんぞ常識で考えればありえんだろうが!」

「…だから特殊能力でだなあ…」

「大体、一億歩くらい譲ったとして、制服はどうするんだ制服は!調書によると下着からアクセサリーまで完備だったそうじゃねえか!ヘアピン留めて、グロスまで塗ってたっていうぞ!どう説明するんだこれを!」

「…おっさんの小汚い服は現場に無かったんだよな?」

「調書によるとそうなってる」

「だったら簡単だ」

「何だよ」

「その男女の特殊能力で、着ていた服が制服に変化したんだよ」



第十節


 がっくりと肩を落とす巣狩。


「…肉体が変わる分にゃあギリギリ妥協もしよう。同じ人間だからな」

「ありがとう」

「しかし服だぞ服!それじゃ何か?そいつらの特殊能力に掛かったら今オレが着てるみたいなスーツがブレザーやベストになり、ネクタイがリボンになって、ズボンがスカートになるってのかよ!」

「…その前に性転換してると思うが」

「アホかー!」

「…その前にガラパンがパンティになって、シャツがブラジャーに…」

「そこの話じゃねえよ!そんな天変地異起こったら世界がどうにかなっとるわー!大体、質量保存法則はどうなってんだよ!」

「質量…なんだって?」

「物ってのは個体・液体・気体みたいに状態が変わろうとも質量は保たれるの!勝手に増えたり減ったりせんのだよ!仮に質量が減るとしたらそれはエネルギー化するってことだから大爆発やら強烈な熱や光が出たりするんだ!」

「…良く分からん」

「モノがそんなにグニグニ変わったりするかよ!マンガじゃねえんだ!ましてや男物が女物に変わっただと!?素材も材質も何もかも違うじゃねえか!物理学上の大発見だ!ノーベル賞がまとめて10個もらえるわい!」

「…でも、確かその女の子は…」

「確かに謎の少女は、…これは公表されていないが自分は三太郎だと名乗ってるらしいな」

「だろ?」

「こんなもん、オレオレ詐欺が自宅に『タカシだよ』ってかたって電話掛けてくるのと変わらん。自称でいいんだから何とでも言えるだろうが」



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