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鬼頭真琴の場合 04


第七節


「出来ればそうしたい。しかし、挑まれたりして逃れられないこともある」

「断ってよ。断ればいいでしょうが」

「そういう訳にはいかねえよ。仲間もいるし。あいつらのフォローもしなきゃならん」

「やめてってば!」

「俺だってやりたくないっつてんだろうが!」

「やりたくないならやめられるでしょうが!」

「だから全部が全部そういう訳にはいかねえってんだよ!」

「…だってイヤなんだもん…彼氏が女装趣味とかさ…」

「女装趣味じゃないってのに…」

「もっと悪いよ。彼氏がしょっちゅう女になって女子の制服着たりドレス着たりして、対戦相手にあんなことされてるなんて…」

「だからあれはお前を助けるために…」

「いらないよそんなの!大体橋場くんがメタモルファイターじゃなかったらそもそも巻き込まれて無いじゃない!」

「それは…」


 かなり長い沈黙。


「…もう無理だね。あたしたち」

「ふん。そういう薄情なことを言う女だとは思わなかったぜ」

「自分の彼氏が女装趣味だったり、女にされたりするのがイヤだってのがそんなに理解不能!?もしも橋場君があたしの立場だったらどうよ!?あたしがしょっちゅう男に変身させられてたらどう思うの?気持ち悪いでしょうが!」


 半ば投げやりに同意した。


「…確かにそうかも」

「だって橋場くんはそっちから何か事態を改善しようとかそういう建設的な意見を一度も言ってないじゃない!少しは妥協してよ!そうすればこっちだって気持ちの持って行きようもあるんだから!」


 考える橋場。


「じゃあ、こういうのはどうだ?基本的にもう戦わない。俺だってそもそも戦いたくなかったからこれはこれでいい」

「それで?」

「もしもどうしても戦いたくなったら一回負けるまではやる。それで負けたら即、引退だ」

「引退する必要ないよ」

「何?」

「別れるから



第八節


「…そうか」

「そうなったら存分に女子高生でもCAさんでも楽しむといいわ」

「だから楽しんでねーっつーに」

「約束だよ。もう女になったり女装したりしないって」

「ああ、約束だ」


 美夕は何もせずに帰って行った。見送りはしなかった。



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