夏兆す
日が陰る
風が通り抜ける
半袖のシャツを揺らしながら
丸い雲のかたまりが
白い陽を遮る
あぁこれから夏がくるのだと
砂利道の途中
立ち止まって空を見上げる
蝉の声に似た耳鳴りを感じながら
懐かしむ
あの頃描いた未来を時を言葉を
やさしくやわらかくひそやかに
息づいていたこれからそれからあれから
すべてを照らす初夏のかげり
あぁそれは夏のような人だったと
それはきっと一瞬のようで
永遠に続くかのような淡い陰り
あぁそんな人だったと
これから始まる夏を懐かしむ