きらきら光る宝物
むかしむかし、まだ僕が小さかったころ。おばあちゃんが、海の中にはね、星みたいにきらきら光る宝石が眠っているんだよ、と教えてくれました。
いつかそれを見つけてみたい――そんな夢を胸に、ある日、僕はひとりで海へやってきました。海はどこまでも広くて、そらと同じ色をしていました。
僕は水着に着がえて、そっと波の中へ入ります。はじめは冷たい水にびっくりしたけれど、すぐに慣れて、胸がわくわくしてきました。
ゴーグルをつけると、世界がはっきり見えます。だってこのゴーグルには度が入っていて、目の悪い僕にはとても大事なのです。それに、僕はあまり泳ぎが得意ではありません。手足をバタバタしても、すぐに沈んでしまいます。
でも今日は――その「沈んでしまう」ことが、ちょっぴりうれしく感じるのでした。だって、おばあちゃんの宝石は、海の深くにあるのかもしれませんから。
僕はそろそろと、海の底のほうへ向かっていきました。けれど、しばらくして胸が苦しくなってきます。息がもう続かないのです。このままではいけません。僕はあわてて海面へ向かって泳ぎはじめました。
そのときです。上のほうで、きらりと光るものが見えました。
「あっ……宝石?」
そう思ったのもつかのま、それは太陽の光でした。だけど、息をするために向かう先で輝くその白金色の光は、どんな宝石よりも美しく見えました。
海を出て、大きく息を吸ったとき、僕はふと気づきました。
――もしかしたら、おばあちゃんが言っていた宝石って、これのことだったのかもしれない。
僕を上へ、上へと導いてくれた、優しいひかり。
それは、海の中でいちばん輝く宝物だったのです。




