『PERSONA』
「魔力が、50を越えた……。『5thOver』」
側近が呆けた顔をしているのをユリファスは怒鳴りつけた。
「それがどうした!! まだ、勝負がついたわけではない。私は負けていない!!」
「王太子」
「ファリスタのものじゃない、僕の玉座だ。だって、子供の時からそう、だと……みんなが言っていたんだ」
ユリファスは顔を覆って、誰かが声をかけてくれるのを待ったが。
諸侯は沈黙していた。だが、軽快な声がその重々しい空気を振り払った。
「そうですとも。玉座に座すべきは貴方だ」
ユリファスは聞きなれない声に振り返る。
そこには、仮面の男がいた。
「誰だ?」
「失礼をいたしました。私は『フェイスレス』。血の晩餐会の進行役を御方から一任された者」
「……『血の晩餐会』?」
「貴女の勝利はすでに、忠義の杯を交わした時に剣の内に宿っております。あとは微睡みから醒めるのみ」
「どういう意味だ。何を言っているかわからない」
「理解など不要。───王太子に命じる。契約印をもってして、第一の剣の束縛を解き放て」
フェイスレスの瞳が仮面の奥で深紅に輝く。
それは、有無を言わさずユリファスを支配した。
茫然自失の王太子は、右手を選定の丘にいるアリエートへと力無く向けた。
唇が弱々しく動くのに合わせ、フェイスレスの言葉が重なった。
「「災厄因子解放。赤色の滅びを振り撒け」」




