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『Swordsmanship』
鼓膜を震わせる鍔迫り合いの響き。
手指にかかる重量。
ああ──。強敵との戦いは心が躍る。
「王座を我が主人に捧ぎます」
「祖王にこの闘争を捧ぐ」
ダーイングとアリエートは剣を打ち合わせていた。
上段、中段、下段。
刃は軌道を変えて、相手の急所を狙う。
命のやり取りに、息を呑む者たち。
ダーイングが押されている。
首の皮を掠め取られ、血が雫となって舞う。
袖を割かれて、腕がのぞく。
あとで、ヴィエッタに責められるな。
特注品の勝負服だが、いまはどうでもいい。
剣を振るうことだけが、心を独占する。
──勝ちたい。
女王の賛辞をこの身に受け、騎士として、剣として、己を証明したい。
だから。
ダーイングはだらり、と腕を下げ、騎士の剣の構えをといた。
アリエートは唐突な変化に眉根を寄せる。
正眼に魔剣を構え、盤石の姿勢。
「いくぞ、アリエート。受け止められるか?」
ダーイングは剣を高く、高く。
持ち上げた。
嫌な気を感じたアリエートは、奥歯を噛み締める。




