『一時休戦』
ダーイングの腰まであった長髪が、背中の半ばまで短くなった頃、伯爵は両手を叩いて二人の遊びを中断させた。
「そこまで。一度休憩したまえ」
「まだやれる」
「いいや、伯爵の言う通りだ。一旦止め」
ダモスが構えを解いて立ち上がる。
不満顔のダーイング。
「この程度で疲れたか?」
「まさか。けど、相手になってねえ奴の相手をするのにちと飽きた」
「俺はまだ遊び足りない」
「……わがまま言うなよ。ガキか?」
「今、二十四だ」
「年下は年上の言うこと聞いとけ」
「おまえ、俺より年上なのか?」
「二十五」
ダモスは自分より身長が二〇センチ程高い大公を見た。
本当にパンと肉でここまででかくなるなら、自分もこのくらいでかくなっていると思うが。
ダモスの身長は一七八センチ。男性の平均程度だった。
「ギリクのおっさんといい、あの爺さんといい。でかいやつ多過ぎだろ」
ダモスの言葉に、ザイルがうなずく。
「同意〜。あとうちの従業員みんなデカ過ぎ。俺がチビに見える」
ザイル(身長一七三センチ)は、ウィスタード(身長一八七センチ)やアルフレド(身長一八五センチ)に恨めしげな目を向けた。
「そう言われても困ります」
「私はパンより米派なんだがな?」
執事と伯爵は肩をすくめる。
「私はもちろん、お肉派です!」
ライア(身長一五三センチ)が手を上げた。
一人を除く、全員が知っているという顔をしていた。
「そうか。レディ、私は魚派だ」
ファリスタ(身長一七二センチ)は毅然と告白した。
それを聞いてダーイングは、ライアは魚派に転身すべきなのではないかと考え、すぐに今更遅いかと考えを改めた。
そして、渋々と剣を鞘に収めた。
遊ぶ空気ではなくなってしまった。せっかく面白いところだったというのに伯爵め……。




