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我が為ノ夢物語  作者: 好き書き帳
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『剣の遊戯』

「ハハハ!」

 ダーイングは細身の刃を片手で振り回しながら、ダモスを追っていた。

 床を蹴り、壁に垂直に着地したダモスはさらに飛んで屋敷のシャンデリアにぶら下がる。

「猪みたいな戦い方だな」

「これが普通でな」

 レイゼンに木剣で型は一通り教わっているが、実戦で使ったことはない。

 趣味の魔物狩りで、ダーイングが獲物を仕留める唯一の方法は『一撃必殺』。

 剣が壊れるよりも先に、剣ごと獲物を叩き潰す。

 まさに単純な力技。


 ダーイングは手始めに、これまでと同じ戦い方でダモスを攻めた。

 しかし、ダモスは刀で剣をすべて受け流した。

 それこそ、呆れ半分の涼しい顔で。


 愉しい。ここまでやりあえるとは思っていなかった。自分の方が相手になっていない。


「大公。追いかけっこも飽きただろ?」

 シャンデリアから手をはなし、広間の床に着地したダモスが刀を鞘に収めた。

「ここからは別の遊びだ」

「何をする?」

「簡単だ。俺にさわれたらおまえの勝ち」

 ダモスは床に膝をついて、構えをとる。

「ほう?」

 ダーイングは即座に、これは下手に踏み込んだら死ぬなと判断した。

『身体強化』で限界まで速度を上げて突撃。剣を振る……のをやめて即座に後退した。白銀がダーイングの喉元を通過。

 刀の一閃で長髪が何束か持って行かれた。

 黒い絨毯の上にくすんだ金髪が散る。

 ダモスは刀を軽く振って、鞘に戻す。


「スリルのある遊びだ。辺境伯」

「そうかい。そりゃ、よかったな」


 ダーイングは笑顔で短くなった髪に触れる。

「まだやるか?」

 ダモスの問いに、「当然」と答える。

「なら、ハンデ」と言ってダモスは片目を閉じる。


 にいい、とダーイングの口元が弧を描いた。


 ◆◆


「ダモス様の居合いを初見で避けますか。やりますね」

 ウィスタードの言葉にスプルスがうなずく。

 普通なら髪を切られるだけでは済まないのだが。ダーイングは見事に回避した。

「やるじゃん」

「うわあ。すごいというか怖い」

 ザイルは階段の手すりに座っている。カミュは怯えていた。


「おやおや、流石は実戦経験があるだけ他の王族とは違うな」

「そうだな。今の王族に力であれに叶う奴はまずいないな」


 たとえ魔剣を所持していようと、持っているだけで振るおうとする者がまずいないのだ。

 宝の持ち腐れだと、ファリスタは常々思っていた。

 その分、可能な限りフレイアル男爵家の権威を利用し、政治的に力は奮ってきたつもりだが。


「安心したまえ、ファリスタ。君にはこれから王として存分に力を奮ってもらうことになるさ」

「あれに負けんように頑張れということか」


 ファリスタの視線の先では、大公が辺境伯との二度目のお遊戯に挑もうとしていた。とても楽しそうに。

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