『老騎士の謁見』
石の回廊の先。
あの部屋にレイゼンは招かれた。
そこにはダーイングも同行していた。
「ただ待っているのは退屈だ」と。
「ここで何をするのですか?」
レイゼンは狭い室内を見回す。
「狼狽えるな、レイゼン。女王との謁見だ」
「謁見?」
ライアは、台座に眼鏡を置きレイゼンに手を差し出す。
なんじゃ? どうしろというのか?
「跪け」
「なんですと?」
ダーイングは壁に背を預けて、笑っていた。
「女王の前に跪き、その手を取れ。これは俺にもそうさせた」
「ダーイング様に膝をつかせたと?」
耳を疑った。
まさかこのような小さき娘が?
レイゼンは差し出されているライアの手を見る。
信じられないと思いながらも、膝をつき、その手を取った。
「これでよろしいか?」
俯いていたライアがゆっくりと顔を上げると、前髪がハラリと流れ、瞳が露わになった。その輝ける瞳が。
その瞳の光を見てしまったレイゼンは動けなかった。
ライアの唇が動く。
「ロンディニウム──open the door」
そしてライアの背後の石壁が闇の口を開けた。
ダーイングは目を細めて、輝く瞳の女王を見ていた。
「ライア。レイゼンに何を見せる?」
◆◆
気づけば闇の中にいた。
ライアも、ダーイングの姿もどこにもない。
あの光はなんだったのか。
強烈な輝きだった。背筋を走ったのは一瞬の怯え。
あの小柄な娘を「恐ろしい」と思った。
かつて魔物を相手に戦ってきた己が。
あの娘はなんなのか?
そんな考えに支配されていた時、目の前を何かが通り過ぎていった。
闇の中で見えなかった。だが、何かある。
レイゼンは腕を伸ばした。
指が当たる。それを掴み、引き寄せた。
なんじゃ?
レイゼンが掴み取ったものを、遥か遠くの石塊の光が照らした。




