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我が為ノ夢物語  作者: 好き書き帳
TRY ANGLE
32/76

『輝きの奥底』

 公爵家の本邸。その一室。

 そこにいたのは十よりもさらに幼い頃のダーイングだった。


 それを見下ろす。


 床に座って、本を広げている自分。

 読んでいるのは──……『祖王物語』。


 幼い自分が、決まったページを繰り返し、繰り返し。絵本を読んでいる。


 そして、必ずこう思っていた。

『祖王のようになりたい』。

 今なお、この胸にある想い。けっして、捨てられない願いだ。

 そのために、剣が欲しい。


 伏せていた顔をあげる。

 このまま土塊つちくれのように錆び付いて、ひび割れて朽ち果てるのは御免だ。

 退屈に『埋もれて』しまうつもりも毛頭ない。


「俺は、剣を得る。その為ならば手段は問わん」

 目の前の幼い己から目を引き剥がし、頭上で光り輝く七色の光の石塊を見上げる。瞳には、灼熱が宿っていた。


 その瞬間、幼い頃の光景が消え、闇が足元から照らされた。

 ばっ、と下を見る。

 そこに見えたのは、赤くぼこぼこと煮えたぎる血潮のような泥の海だった。

 それが、一際大きく盛り上がると、下から噴き上がり迫ってきた。


 ダーイングはそのまま赤い本流に飲み込まれた。

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