『石の回廊』
「剣選が行われると?」
「そうでございます。第十三位継承権保持者、ファリスタ・ツァイク・フレイアル様が決議の場において剣を立てられます」
ウィスタードは指をたてる。
「そして、剣は三つ。ダーイング様にはその一振りとなっていただきます」
指をおり、続ける。
「残り二振りのうち一振りは、当店の者から選出させていただくという手筈」
残り一本。
「ですが、あともう一振りが足りません」
執事は眼鏡の位置を正す。
「そこで、レイゼン・オルグ・ルディラス様。貴方様にお尋ねします」
レイゼンはごくりと、喉を鳴らした。
「再び『王剣』となる意思はございますか?」
前侯爵の目には動揺と迷いがあった。
「ダーイング様……」
レイゼンは答えを求めるように、ダーイングを見る。
だが、ダーイングは何も答えなかった。レイゼンを無視して、ライアの前に立つ。
「おまえの仕事とやら見せてもらおう」
「では、こちらへどうぞ」
ライアが向かうのは、応接室の壁に備えられた扉。
執事とオーナーを残して、その小さな背に従業員たちが続いた。
ダーイングもそれを追った。
残されたレイゼンに男爵と執事が一礼し、近づく。
「ルディラス様、お時間はございます。ゆっくりとお考えください。──ウィス」
「かしこまりました。紅茶をお持ちします。どうぞソファでおくつろぎください」
ウィスタードは、足早にその場を後にした。
「レイゼン様。とりあえず座りましょう」
ウルガ隊長らに促され、レイゼンは応接室のソファに腰掛けた。
◆◆
扉の奥には長い通路があった。
どうやら隣接する建物を突き抜けているらしい。
従業員たちはそれぞれ荷を持って、ライアを追い越し、先へ進む。
ダーイングは『身体強化』で先を見据えた。
その先にはまた『扉』があった。




