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我が為ノ夢物語  作者: 好き書き帳
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27/78

『役立たずの石』

 ガタガタと揺れる二台の馬車はレイゼンの屋敷から途中、王城を経由してから『石の家』へと向かっていた。


 一台はレイゼンとルシアス。もう一台の馬車には魔狩りの剣のウルガ隊長と副隊長。そして、隊員が乗っていた。

 レイゼンとルシアスの馬車には、荷物が一緒に積まれている。


「もうすぐ着きますよ」

 窓の外を眺めていたルシアスが目的地が近いことを、レイゼンに伝える。

 その言葉の通り、馬車は速度を落とし、やがて停止した。


「ご苦労。では荷を下ろしたらいつも通りに」

「かしこまりました」

 子爵家の御者は、ルシアスに頭を下げる。

 荷を下ろしにかかる御者ぎょしゃを、魔狩りの剣の隊長たちが手伝う。


「ここか」

「ええ、こちらが『石の家』。我らがリトルレディのお住まいです」


 大岩のような、石造の建物をレイゼンは見上げていた。

 店よりも『砦』のようだ。そんな感覚を覚える。いいえぬ緊張感があった。


 ルシアスは、扉の横に立つと「どうぞお入りください」とレイゼンを誘った。

 レイゼンはドアノブに手をかけて、押す。

 扉は思いのほかすんなりと開いた。


 ◆◆


 準備が整うまでと、待たされていたダーイングが退屈に飽きてきた頃。

 大きく扉が開かれる気配がした。そこには己に仕える前侯爵レイゼンがいた。

 その隣には、微笑を湛えた美男。


「ご無事ですか?」

「大事ない。相変わらず『割れた』ままではあるがな」

左様さようですか」

 よかった。何事もないご様子じゃ。

 レイゼンはほっ、と胸を撫で下ろした。


「ようこそいらっしゃいませ。レイゼン・オルグ・ルディラス前侯爵。そしてルシアス子爵。お待ちしておりました」

 やあ、と手を振るルシアスは、レイゼンの横を通り、奥へと向かう。

 そこには四人掛けのソファの真ん中に一人で座るライア。


「遅くなりました。リトルレディ」

「いいえ。子爵、ようこそいらっしゃいました」

 にこやかな笑みでライアは迎える。


「石は」

「お持ちしております。スプルス殿」

 ルシアスが入り口を示すと、ウルガ達が荷を運び入れてきたところだった。


「あれは何だ、レイゼン」

「それが……魔物石でございます」


 魔物石? 

 この店が扱う石とはまさか『あれ』か?

 魔石ではない、使い物にならない石。


 魔物は倒した時に、その体の一部が変質して石になる。だが、それを使うものはいない。

 大抵捨て置くものだが。


「『魔狩りの剣』の保管庫にあったものを持って参りました。戦果の報告のためにこれまで回収し集めていたものです」


「いやあ、思っていたよりもたくさんあって驚いたよ」


 ルシアスは、ダーイングに一礼。

「大公閣下。御趣味が役に立たれましたよ」


 どうやら、ダーイングが倒した『獲物』の石を持ってきたらしい。


「あとは、ザイル達が戻れば準備が整います。お嬢様」

「もー戻ってんよ」

 扉の前には、ザイルとカミュ。ギリク。

 それぞれ荷物を持っている。

 カミュの手には瓶。透明な石が詰まっている。

 ギリクは重そうな皮袋を担いでいる。


「準備できたな──ライア。仕事だ」

「はい。先生」


 いよいよ。ライアの出番だ。


「ここからは、私のおしごとです」

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