表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が為ノ夢物語  作者: 好き書き帳
TRY ANGLE
22/76

『メジャーの女王』

 請求書を預かったウィスタードが下がっていく。

 エルクリッドはにこり、と笑う。


「こちらはまとまりましたので、もうひとつお話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

「今度は何だ」

「彼女を紹介させてください」

 男爵の手が、扉の方を示す。ダーイングも目を向ける。


「どうぞお入りください」

「失礼します」


 扉が開き、『石の家』に足を踏み入れたのは豊満な胸にスレンダーな手脚。

 長いまつげの瞳。あでやかな化粧。

 女の魅力をこれでもかと体現した女性だった。

 ヒールを鳴らしながら、ダーイングの前に立つとルージュを引いた唇で弧を描く。


「エルディング様、お初にお目にかかります。私は『ヴィエッタ・エルメーヌ』。エルメーヌブランドの経営者です」

「知らんな」

「まだ立ち上げたばかりですので」

「それで。なんだ」

閣下かっかのお召し物を、私にご用意させていただきたく存じます」


 ダーイングは少し考えた。

 確かに着替えはない。


「かまわん。用意しろ」

 そう答えた瞬間だった。


「では早速、採寸いたしましょう!」

 ヴィエッタは瞳を肉食獣のように輝かせ、巻尺まきじゃくを取り出した。


 ダーイングは瞬きをする。

 どこから出した?

 そう思わざる得ないほどの早業だった。


 巻尺を鞭のようにひらめかせるヴィエッタ。

「うふん。作りがいがありますわ」

 ピシリ!と目盛りを刻まれた白い帯が両手で伸ばされた。


 ダーイングは一歩後ずさった。

 危険な予感がしたからだ。


「そんなに警戒なさらないでくださいませ」

 ヴィエッタは笑みを崩さず近寄っていく。

「ここではなんです。隣に従業員用の建物があるのでそちらに参りましょう?」


 なんだ?

 何をする気だ、この女は?


 ダーイングはまわりを見た。

 ライア以外の男性陣が、顔をらしている。


「ちょっと、大変かもしれませんが。頑張ってください」と男爵も、しっかりと顔を逸らしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ