『No.13』
男と対面している書斎の主は、執事が運んできた紅茶のカップを静かにソーサーに置いた。
前分けの長い白金色の長髪。
切長の刃の瞳。それは真っ直ぐ、正面に座る男を射止めている。
落ち着きのあるオリーブの葉色の上等なスーツを身につけ、首には赤いネクタイがピシリと締められている。
「『王』?」
「そうだとも」
「……──おまえは、私に『剣王』になれというのだな?」
「ああ。『第十三位継承権保持者』」
「おまえがいうように、私は十三位。継承権の低い私が『王になる方法』は一つだと、わかって言っているんだろうな」
「駄目かね?」
刃の瞳が閉じられる。
そして。
次に開かれた時、そこには刺突剣のような鋭さを感じさせるものがあった。
「いいだろう。どうせ、私の継承権も地位などもあってもないようなものだ。好きにしろ」
──美しさよりも知性と勇ましさを感じさせる男装の麗人は言い切った。
今回、こうして交渉の席を設けた男は、ニタリと笑い「よく言ってくれた。さすがは私が相談役を務めてきただけのことはある」と賛辞を送った。
その言葉をうけた、男装の麗人は喜ぶでもなく、照れるでもなく。
顔色ひとつ変えずにいたが。
しかし。
ひとつだけ条件を提示した。
「──ただし、やるからには手を抜くな。徹底的に叩き潰せ」
力強い言葉と瞳だ。
男はさらに笑みを深めた。




