表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が為ノ夢物語  作者: 好き書き帳
TRY ANGLE
16/76

『バスタイム』

「では、ごゆっくり」と執事は去っていった。

 服を脱ぎ、かごに放りこむ。

 浴室に足を踏み入れたダーイングの瞳がゆっくりと内装を確めた。


 内部の壁は白い石材で造られ、広々としていた。

 壁には大きな鏡。

 床は大小の石が組み合わさり模様になっている。

 この家、いや店はなかなか凝った造りをしているようだ。


 だが。

 ダーイングの目線の先には湯が張られた白い浴槽。


 それは、『魔導具式』だった。

 湯を沸かすための『火の魔石』を動力にした魔導具が取り付けられている。

 

 魔力がないなど、と言っていたが。

 そんなはずはない。魔導具を動かすには魔力がいる。


 魔導具は、それに取り付けられている魔石に魔力を流して動かすものだ。

 そしてこの程度なら、簡単に動く。


 シャワーのノズルに手を伸ばす。つかみ、ハンドルを回す。

 熱せられた湯が流れ出した。


 頭から浴びると、ややくすみを帯びた金の髪が濡れて重くなる。


 鏡を見ると、つまらなそうに湯を浴びているひび割れた自分がいた。

 胸。腹から足先。肩、腕から手指まで割れている。そして、ひびは新たに顔。左の頬に刻まれていた。


「また、広がったか」


 あの女は、一応これが視えているらしい。

 これを本当に治せるのか。

 それとも退屈なまま、砕けてしまうのだろうか。


 鏡から目を逸らし、浴槽を見た。


 たっぷりと湯が張られている。

 しかし、ゆっくりと浸かる気などなかった。


 そもそも浴槽はダーイングが普段使っているような大きいものではない。

 あの女にはちょうどいいだろうが、身長一九〇センチ以上のダーイングには小さい。


 ダーイングはこのままシャワーで、手早く体の汚れを流し落とすことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ