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 ここは異世界「ニア」。魔法が存在する世界。緑が多く自然豊かな場所もあれば城や商店街などが密集している都市のような場所もある。地形は言うなれば地球に近い世界と言っていいだろう。

ここ「ニア」では人、魔族、亜人など様々な種族が混在している。今は見る影も無いが昔はよく種族間で争っていたらしい。特に人と魔族の争いは凄まじかったらしく100年にも及ぶ戦争だったのだとか。…まあ4年前に転移してきた俺にとっては知ったこっちゃないんだが。

お察しの通り今語っている俺は地球からの転移者であり転移してからもう4年経っている。時は俺が高校1年生。16歳の時だ。いつものように家で堕落した生活を送っていると突然目の前が真っ白になりあたりを見渡すとこの世界の草原に居た。まあよくある異世界転移のテンプレのような出来事だったんだがそこから何とか生活できるようにして今現在。「ニア」で1番大きな帝国、バファルス帝国に住む俺はある場所に向かっていた。

*

「よお、しけたツラしてんなあ。シン。」

商店街の真ん中で遠慮なしに話しかけてきたのは悪友のトニーだった。

「なんだよトニー。こっちは重い腰上げて冒険者ギルドに向かってるっていうのによ。」

そう、向かっていたのは冒険者ギルドである。金に困っている俺は依頼をこなして懐を少しでも暖めたかったのだ。俺がこうなるのは日常茶飯事な為、数年来の付き合いであるトニーにはそんなことお見通しであった。

「手伝ってやろうか?この戦士様が」

そう言ったトニーは手でお金のポーズをし始めた。

「阿呆か!俺の取り分が少なくなるだけだろうが!」

「まあそう言うなって。俺は戦士でお前が剣士。階級が上の職業がいた方が依頼も楽にこなせるぜ?」

職業。それはこの異世界「ニア」において最も重要なものと言える。職業は生まれながらにして決まっているが、かなりの修行や努力を積み重ねることで変化したりする。

この世界の半分近くの人々が村人や商人などの戦闘向きではない職業であり、冒険者はそれより上の剣士からなれるものとされている。剣士の割合は冒険者の中で約6割となっており、1番割合が多い職業だ。

とは言っても剣士の俺は冒険者で1番階級が低い職業なのであった。異世界転移してテンションが上がっていたのに貰った職業が冒険者で1番下の職業って…(悲)。そりゃ冒険者できるだけありがたいけどせめて戦士の上の魔剣士とかだったらもう少しやる気出せたのになあ。そう思いながらトニーに返答する。

「お前がいると難易度高い依頼が回っちまうじゃねえか。めんどくせぇしそれで報酬が半分なのも解せん。俺はソロでやる。」

「ちぇっ。」

冒険者はソロが基本的に多い。それは剣士の割合が多いというのもあるが職業によって回ってくる依頼の難易度が異なるからである。剣士だけのパーティーを作ったとしても依頼の難易度は安全面を配慮して依頼額の少ない剣士向けのものしか提示されない。

そうすると一人ひとりの配分がかなり少なくなってしまうため組むなら治癒士や魔法使いなどを含めたパーティーじゃないと効率的ではないのだ。しかし治癒士や魔法使いは戦士より少なく倍率が高い為ほとんどの剣士はソロで活動している。

「俺は命の危険は冒したくないんだ。」

そう言いつつトニーと世間話をしていると冒険者ギルドにたどり着いた。

*

 冒険者ギルドに辿り着いた俺は早速依頼を探しに掲示板へと向かった。剣士向けの依頼で報酬がいいものを吟味しているとギルド全体がなにやらザワザワし始めた。あたりを見渡すと1人の少女が注目されていることに気づく。すると隣で一緒に吟味していたトニーが呟く。

「あれってセレナ・リーフェンか?」

誰だ?と首を傾げた俺にトニーが気づいて世間知らずの俺に説明する。

「そうか。お前って南支部しか来てねえもんな。あの子は北支部でブイブイ言わせてるセレナ・リーフェンって言うんだけど、なんでもソロでデス・ワイバーンを倒しちまうらしい。年は19。職業は聖騎士だ。」

聖騎士だと!?かつての魔族との戦争で活躍した職業じゃないか。バファルス帝国の冒険者で10人もいないんじゃないか。しかも俺より若いのかよチクショウ。

容姿は茶色がかった黒髪のセミロングでスタイル抜群。顔もかなり整っている。誰が見ても美少女と言えるだろう。装備は軽装で腰に高そうな剣が一本。冷たい表情をしながら辺りを見渡している。

「そんなエリートがここに一体何の用なんだ?」

トニーに尋ねる。

「どうやら仲間を探してるらしい。北支部の冒険者とはあらかたパーティーを組んだらしいんだが、組んで一回依頼をこなしてはセレナ・リーフェンから別れを告げるということをしてたらしいぜ。何がしたいんだか全くよ。」

「なんだそりゃ。じゃあ北支部の冒険者は用済みだから南支部まで来たってことかよ。」

「そういうことになるな。」

おいおいたまったもんじゃないぞ。そんなすぐに仲間を見限るような奴とパーティーなんか組みたくないしそもそも何でそんなに仲間を欲しがるんだ?ソロでデス・ワイバーンを倒せる実力があるのなら要らないんじゃないのか。

そのようなことを思いながらセレナ・リーフェンを見ているとあちらもこっちの方に視線を送ってきた。掲示板の前にいる冒険者を一人ひとり見ながら、やがて俺と目が合い、暫く見つめ合った。青く綺麗な瞳と。

何だ?何でこんな見てくるんだ?俺の顔そんな面白い?

「な…何でしょうか?」

恐る恐る聞いたがセレナ・リーフェンは答えない。

すると俺の方に歩み始め周りの冒険者はセレナ・リーフェンに道を譲る形で避けていった。歩みを止めずどんどん近づいていき最終的に俺の前まで来たセレナ・リーフェンは笑みを浮かべながら俺に言った。

「あなた、私とパーティーを組みなさい!」


初めての投稿なので至らぬ点等がございましたら指摘してくださると幸いです!

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