重奏 0
親愛なる、テアへ――
前略
君の学院生活が楽しそうで安心しています。
私も学院にいた頃を思い出し、とても懐かしく思いました。
あの頃はとても楽しかった。
音楽を学べたのはもちろんですが、友人たちと色々やれたことが記憶に鮮明です。
今も毎日充実していますが、学院時代ほど何かに挑戦できたことはなかった。
けれど、さすがに入学して一ヶ月でステージに立つ、ということもなかったので、羨ましいような気持ちすらあります。
先日のサイガのリサイタルでの君の評判は、友人たちからもよく耳にしています。
とても素晴らしかった、と。
それを私も誇らしく思っています。
演奏会は君にとって、とても楽しく実りあるものだったことでしょう。
私もぜひ聴きに行きたかった。
公演で外国にいたのが悔やまれます。
ですが学院祭までには、何とか仕事を終えて、君の演奏を聴きに行けそうです。
君がパートナーと奏でる音を聴けることを、楽しみにしています。
草々
追伸
立ち寄った店で君に似合いそうなものを見つけて、つい買ってしまいました。
この贈り物を気に入っていただければ幸いです。
君だけの「あしながおじさん」より――