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ディルク・フォン・シーレ様――
拝啓
秋涼のみぎり、いかがお過ごしでしょう。
私は、あなたのいない日々を、寂しく過ごしております。
ですが、こちらに不在の間も、あなたは将来のために様々なことを学ばれたと思います。
どうか、そろそろ、それを役立てるためにもこちらに戻られませんか。
近々戻られるおつもりかとは存じますが、どうか、母の慰めのためにもお早いお戻りをお待ちしております。
あなたがいつでも戻って来られるよう、準備を進めて参ります。
どうか、それまでお身体には十分お気をつけて。
敬具
母より――