きらり、満天星の葉
虹色の木の葉が
透き通る風の中を
ひらり きらり
風を見つめる瞳に
映り込む街の景色
煌めく木の葉が
刹那から
刹那へと
ゆららかに舞い降りて
目の前には鮮やかな
満天星紅葉
これからもっと紅く
それは燃えさかる
情熱のように
ひらり きらりと
舞う木の葉
金木犀の花が紡いだ
黄金の絨毯はいつしか
風の中へ飛び立ち
代わりに道の上には
黄や紅の葉の輝きが
星のようにちりばめられて
ひらり きらりと
舞う言の葉
冬を越えるために
葉は空を風に舞い
やがて土へと
生まれ変わるように
言の葉もまた
心という樹で育ち
そして色づきながら
枝から放たれて
誰かがくれた言の葉が
心の中へと舞い降りて
そして心の土となり
樹をまた豊かにしてくれる
冬をも越えるあたたかな
ぬくもりとともに
ひらり きらりと
舞う木の葉
夕映えは魔法のひととき
やわらかな太陽に照らされて
金色に輝く葉と心
夕闇がやさしく世界を包んで
世界を描く言葉
同じ絵は二度描けないように
言の葉も一枚一枚が
違う輝きを持つから
一人ひとりの心の樹に
一人ひとりの言の葉
ひらり きらりと
目の前には鮮やかな
満天星紅葉
あたたかな夕陽が照らす
道にはたくさんの光る葉
天の川のように
そしてこの世界には
今日もたくさんの言の葉が
ひらり
きらりと
舞い降りて
「満天星紅葉」(どうだんもみじ)は、生垣や公園などにあるドウダンツツジが紅葉する様を表す、秋の季語です。春にいくつもの白い花が咲くことから、ドウダンを星に喩えて「満天星」と書かれます。他の木々の黄色い葉が星のように輝く光景と合わせて、描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。