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拝啓、昨日の私。吸血鬼を拾いました  作者: べにしゃけ
はじまりの章「来訪者たちの記憶」
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18日目「お久しぶりですね、執行者さん」

ブックマーク登録ありがとうございます!

 最悪だ……完全に疲れ切ってしまっている。

 神社の鳥居近くに立ち尽くしていた。

 彼女…上神小夜は、自分のことを執行者だと名乗った。

 そして、わたしたちを殺すかも知れないと。

 日常生活でのその類の脅し文句は笑い飛ばせるが、彼女みたいに現実を突きつけられると信じられなくなる。

「ったく…小夜のやつ。どこ行きやがった…」

 ハッとした。

 彼女が小夜のように髪を後ろで結び、着物を着ていたので一発で小夜の姉だと分かった。

 かと言って、話しかけるのはどうかと思う。

 こういうのは他人のフリをして無視でいいだろう。

「なんて、考えてる輩がおるから探す手間が省かれて楽だぜ」

「……ぇ」

「よ、ねーちゃん。ちょっと、オレに付き合ってよ。オレは上神ひまり、一応小夜の姉をやってるものだ」

 手を差し出される。握手……だろうか。

「そして、執行者のコード名は……独唱歌(アリア)。ま、長い付き合いになると思うから、な」

 執行者…。まただ。

「安心しろ、今は殺さねえって。ほれ」

 握れと言わんばかりに手をより一層、強く差し出すひまり。

 とりあえず、握り返しておく。

「お、あざす。んじゃ、これからよろしくなー。それで、小夜のやつは空間特異点を対処しに行ったと…ははーん。倉橋、手ぇ貸せよ」

 ニッと、片方の頬だけ釣り上げると彼女ひまりの服が、小夜と変わらない。黒の死神のような装束に変化する。

 背中からは肉が落ちた骨格だけの羽が生え、そこに魔法陣のような紋様が走り屋台とは違った光が夜を照らす。

「っしょ。捕まえたぜ、じゃ優雅な空の旅をー」

「えっ!?ふぇ、ひゃぁぁ!?」

 ひまりに腕を回されたと思ったら、数秒後には上空に浮いていた。

「ちょっ…離さないでね!」

「わーてるよ。それにオレはこれしか使わないから」

 右の腰から一丁の黒い銃を取り出すひまり。

「んーー………よし。捕まえた、それじゃ、時間を跳ぶから」

「えっ!?ちょっと、まっ………」

 ものすごい推進力が全身を叩く。

 でも、何も感じない。空気の抵抗もなく運動時の熱も生じずに、ただ音速で移動していた。

「…で、望海は見れるのか?」

「な…何を!?」

「ばっきゃろい!空間特異点だよ。なんか、それっぽい怪物がいたらそれだ!」

 それっぽい怪物……?

 でも、あの反響音。おそらく、あれが空間特異点…ってこと?

 と、なると……。

「あ…あれ!」

 見つけた。なんかでかいやつ!

 そして……あれは小夜?

 身の丈に迫るほどの鎌を二つ操りながら、よく分からない化け物と対峙している。

「あー、なんとなくわかった。んじゃ、十秒で終わらせてくるから」

 それだけを言うと、わたしの生命線である抱きつかれたひまりの腕が抜けていく。

「……え」

 落下を始める。ああ、これ死んだなと実感する。

 心の中で叫んでおこう。

 いやぁぁぁっっ!!

「ふぅ、セーフセーフ。さすがオレ、きっちり間に合わせたわ」

「まったく…姿を捉えられないからって監視対象をいいように使うんじゃない。死んだらどうするの?」

 落下が始まったと、ほぼ同時にひまりに支えられる。

 二人の服が先ほどと同じ着物へと戻る。羽はそのままにして。

「ふぇ…疲れましたです。というかアレ、硬過ぎです……」

「……ざっこ」

「お姉ちゃん!それはないですよ!わたしだって頑張っているのです!」

 えっと…まず格好だけじゃなくて雰囲気がガラッと変わっているんですけど。

「…あ、お久しぶりですね。望海さん、一応執行者……死神代理人をしてます。上神小夜です」

 なんだろう。その…お久しぶりですね、執行者さん。

おまけ


「ひまりは、わたしとほぼほぼ胸の大きさが変わらない!よかった!」

「……違う。コイツが異常なだけ。死すべし」

「ちょっと!?姉間で変な意気投合しないでくださいです!」

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