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拝啓、昨日の私。吸血鬼を拾いました  作者: べにしゃけ
はじまりの章「来訪者たちの記憶」
14/73

14日目「ネーミングセンスまではボク、ないからね!?」

「……で、アンタはなんでアタシを襲ったの?」

「……やだ。答えたくない」

「…ッ、へぇ?そんなに早く死にたいのかしら?」

「……お前じゃ、私は殺せないよ」

 さっきから、ずっとこれだ。

「まあ、動機なんてどうでもいいのだけれど。それに…おそらくアンタはアタシと別の世界から来てるみたいだしね」

「……それは思った。体内を構成する魔素の性質が違う」

 なんだろう。今、朱音たちはわたしの部屋で牽制し合っているのだが次元が違う。話している内容が非現実的だ。吸血鬼と氷の精霊と言うのだから当たり前だけれど。

 そして、碧は逃げた。おねーちゃんに任せるね!とのこと。

「覚えておきなさい。アンタにはその内痛い目に遭ってもらうから」

「……上等」

 あーあ。あの二人、すごくバチバチしてる。

 視線に殺意を感じるもん。

 飛び火がこっちに来ないといいなー。

「…そう言えば、アンタってなんて名前よ?」

「私?名無しよ。名前なんて精霊にあると思った?馬鹿なの?」

「はぁ?余程アンタの方が馬鹿じゃないの。凍らすしか脳のない単調な生き方じゃない」

「…ふざけないで。お前なんて、私の氷だけで十分よ。それに、慎ましいって言ってくれる?この貧乳」

「それはアンタもじゃない!アンタの胸よろしく、性格も慎ましければよかったのにね!」

 うっ…心にグサグサ刺さる。わたしも決して大きいわけではないのだ。

「でもまさか、あの吸血鬼が人と馴れ合うなんて。落ちぶれたものね」

「なに?アンタはのぞみたちの良さも知らないのにそんなこと言うの?嗚呼、これだから精霊は嫌いなのよ……でも、名前がないのは可哀想ね……」

「……なんで私のことをそこまで気にかけるの?私はお前に対して何もしていないのに」

 そこで、思いつく。覚悟しろ、弟よ。復讐の時間だ。

 こっそり部屋を抜け出して、碧の部屋に突撃。

「…えっ!?なになに!?ちょっ…」

 無理矢理手を引いて、わたしの部屋に放り込む。

「はい!碧、そこのペンギンちゃんの名前を考えてあげて!」

「…はあ?なんで、私が人間なんか……に……」

 声の方向に顔を上げる彼女は、碧の姿を見て固まった。

「え?ボク、何かやった?ねえ、待って。この空気どうにかして?」

「…いいわ。その人間なら私の名前を預けてあげる」

 彼女の中で何があったか分からない。でも、確かに許可をした。

「はぁ……拒否権は…なさそうだね。ええっとね…」

 それから碧はこの世界での名前の仕組みを説明した。

「なるほど……つまり、姓と名が必要なのね」

「そう言うこと。それで、ボクのところは…」

「姓と名、両方考えて。それと、この貧乳短気幼女と同じ姓は嫌よ」

「なっ……アンタねぇ!」

「いや、でもそれでいいよ。これ以上倉橋を使わせるのはちょっと…」

「ちょっと!?ボクの身にもなってよ!」

 頭を抱えて考え込む碧。数分後、何かを思いついたように彼女を指差す。

空渡(からわた)瑠凛(るり)!どうかな?」

「……なるほど、ブルースターの日本語名をもじったのね…いいんじゃない?」

「からわた…るり…いいわ。認めてあげる」

「ほんと!?よかったぁ」

「じゃあ、これからよろしくね。あおいおねーちゃん?」

おまけ


「ちょっと…離れてくれないかな?瑠凛ちゃん?」

「やだ、離さない」

「その…冷たいんだけど。物理的に」

「気のせいよ」

「ちょっとぉ!おねーちゃん、朱音ちゃん、助けて!」

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