ネイル
ヌルッと読んでください、ネイルだけに。
一昨日、手の指にネイルを塗った。きれいなモスグリーンの春らしいネイルだ。三度も塗り重ねた。左手のネイルはその日のうちにペロリと剥がれ落ちてしまった。億劫だが、今から塗り直そうと思う。
一度塗り目。まだピンクの爪が透けて見え、なんだか気持ちの悪い色だ。
こういう細かい作業の時、必ずと言っていいほど指の先や、本来塗るべきでないところまで塗料がついてしまう。不器用なのである。そこが自分らしいとも言えるのだが、ある意味強欲さの象徴でもある。ひと塗りで全てを完璧に済ませようとする、性格が丸見えだ。完璧主義とでもいうべきか、こんなところにまで現れてしまうのは、あまり喜ばしいことではない。
二度塗り目。このネイルは乾くのが早くて助かる。今度は少し多めに塗った。剥がれぬように、裏側まで。
乾かしている間にキーボードを打つのは少々不便だ。しかも数ヶ月前に痛めた右手首は少し調子が悪い。肩まで凝ってくる始末だ。少しストレッチをして筋肉をほぐす。
いくら速乾性があるとはいえ、何もせずに待つのは退屈で好きではない。いつも音楽を聴きながら、何か作業をしながら、待つのである。全く、せっかちもいいところだ。そうでもしないと、必要以上に触って、塗り直す羽目になる。その方が余計に面倒くさいというのに、それでも触ってしまうのだからどうしようもない。今はキーボードを打つことに集中しよう。
ふと右手の指先を見ると、薬指のネイルが少しはげていることに気がついた。仕方ない。そっちも塗り直す。
大概塗り直しはうまくいかないのだが、今日は幸運なことにうまくいった。少し厚く塗ったので、乾かすには時間がかかりそうだ。また待ち時間が伸びてしまった。
三度塗り目。もう爪の色は完全に見えなくなった。上々の出来だ。
両手を光にかざすと少し爪先が透けて見える。どうやらそういうものらしい。気になると気にしてしまうタチなので、四度目をしようか迷うところだが、今日はよしとしよう。
ああ、もう眠い。頭が痒いのだが、塗り直しついでに他の指まで補強したおかげで頭が掻けない。仕方ないので、そこにあったオレンジの蛍光ペンで掻くことにしよう。ぽりぽり、よし、落ち着いた。
変なものだ、自分がやりたくてやっていることなのに、どんどん面倒くさくなってくる。何のためのネイルなのだろう。そもそもは呪術的な何かが起源だったと聞いたことがある。要は魔除なのだ、今でも、自分を少し強くする、そういうものなのかもしれない。
あとはトップコートを塗って、ようやく終わりだ。もう塗り直しはごめんだ、今はそう思うが、きっとまた塗り直すだろう。私はそういう人間だから。
読んでいただきありがとうございました。
結局のところ、ネイルってなんなんですかね?面倒なのにテンションは上がる。不思議なものです。




