説明されて謎が増えた
「すまない。取り乱した」
「ほんとだよ」
あの後なんとか落ち着いたカムナと共に宿に戻ったが、謝罪をフォローする気もおきなかった。
俺がアルムスターさんちの関係者だと何か問題でもあるのか。
「それにまずアルムスター家ってなんだよ」
「何で知らな……いや当然か」
「今俺の評価が下がった気がする」
「今回は少年は悪くないよ。多分。一般人は自分のところの領主の名前だって知ってるか怪しいからね」
「あー」
確かに俺自分とこの村の領主がクラウディアさんだと知らなかったわ。
俺が知らなかっただけとかでなく、村人の会話の中でも出てきたことなかったし。
「まあ予想はついてるだろうけど、アルムスターというのはピザン王国の貴族でね。広大な領地をもつ公爵家さ」
「俺の記憶が確かなら公爵って王様の次に偉くなかったか?」
「ピザン王国には大公などはいないから王の次だね。もっとも爵位に家の規模や実力がともなっているとは限らないけれど」
「じゃあアルムスターさんも?」
「いや。王家に次ぐとされる三つの大家の一つさ。しかも王を決める際の選挙権を持つ選定侯の一人でもある」
「よし。俺とは関係ないな!」
というかもし仮に関係あっても全力で知らないふりするわ。
下手に欲出して関わっても、割に合わない問題がおてて繋いでこんにちはしてくるやつだろ。
「まあ仮にアルムスター家の出なら、少年の曾お爺様はそんな地位を蹴って農民に身をやつしたことになるけれど」
「え? もしかしてそのアルムスター家って途絶えてるのか?」
「いや健在だよ。でも数十年前に後継者が死んでお家騒動があってね。……そこを考えると、仮に少年の家がアルムスター家の血縁者なら、無関係でいられたとは思えないけれど」
「じゃあやっぱり関係ないんじゃね?」
俺そんな話全く聞いたことないぞ。
子供に聞かせるような話じゃないと聞かせなかっただけかもしれないが。
「でもなんでこの剣からアルムスター家の話になったんだよ」
「さて。白騎士の紋章は柄を分解しないと見えないしね。あの神官余程の刀剣マニアなのか」
「いやアルムスター家って白騎士と関係あるのか?」
「あるとも。平民だった白騎士を他の貴族のやっかみから守る後ろ盾になっていたのかアルムスター家なのさ。当時の当主と白騎士は年齢は離れていたけれど、戦場でお互いの命を助け合ってからは親友のような間柄だったそうだよ」
「あー。なるほど?」
つまりアルムスターなら白騎士から剣を贈られても……?
いや立場的にむしろアルムスターから白騎士が貰うのが普通では?
「ともあれ、少年の代まで曾お爺様の実家からの干渉はなかったんだろう? 仮に実家がアルムスター家であってもなくても、既に関係は切れているだろうから気にしなくてもいいだろうね」
「あの神官めっちゃ気にしてそうだったんだけど」
「それは私にも分からないよ。そもそも何でこんなところに神官がいるんだか」
そういって肩をすくめるカムナ。
本当何なんだろうなあの神官。
アルムスター家のことは分かったがあの神官については謎が増えた。




