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スライムが倒せない  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


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わしは悪い爺さんじゃないよ

「まったく。少年には危機感というものが欠如している」


 そう言いながら、塩漬け肉で作ったスープの入った鍋をグルグルとかき回すカムナ。

 しかしその視線は俺が川で拾ってきた男……いや、年齢的には結構いってるらしく、髪は白く顔に皺がうかんでいる爺さんの方へと向けられている。

 警戒心たっぷりなおまけ付きで。


「なんでそんなに怒ってるんだよ」

「怒ってる? 呆れてるんだよ。少年のお人よしぶりと世間知らずにね」


 そう言いながらグルグルと鍋をかき回す速度をあげるカムナ。

 その鍋の中身結構いい具合だと思うんだけど、いつになったら食べさせてもらえるのだろうか。


「食料の問題は街が近いからまだいい。だが素性も知れない、しかも男をわざわざ連れて来たのがいただけないんだ。もし悪人でいきなり襲いかかって来たらどうするつもりだ」

「いやそんな元気ないだろこの爺さん。気絶してるし」

「それはそれで問題なんだよ。気を失った原因は恐らく頭部への衝撃。厄介事を抱えてる可能性が高い」


 そう言って鍋をかき回していた匙でビシッと爺さんの頭を指し示すカムナ。

 確かに俺が拾った爺さんは頭に怪我をしていたので、神父様から教わった簡単な治療と止血をしてすっころがしてる。

 もし殴られて川に捨てられたとかなら事件性がたっぷりだ。

 いや単に滑って転んで頭打って流された可能性もあるだろうけど。


「それこそ話聞いてみないと分からないだろ」

「はあ。少年の周りには善人しかしなかったのかい」


 何かすっごい呆れられた。

 え? これ俺が悪いの?


「まあ坊主が悪いだろうなあ」

「マジで!?」


 いきなり声がしたので振り向けば、すっころがしてたはずの爺さんが上半身を起こしてあご髭を撫でながらこちらを見ていた。

 いつの間に起きてた。


「ふむ。どうやら助けられたようだが。ここは何処だね」

「まずそちらの事情を説明してくれないかなジェントルマン?」

「おお恐い。そう睨みなさんなお嬢さん」


 例の笑ってるけど目が笑ってない顔で爺さんに言うカムナと、その圧力をものともせずハッハッハと笑う爺さん。

 何コレ恐い。


「わしはアルフという。それなりに腕には自信のある石工だ」

「へえ。石工のアルフねえ」


 爺さん――アルフの名前を聞いて僅かに眉をひそめるカムナ。

 石工って要は石大工だよな。

 爺さんの割にはガタイがいいと思ってたが、やっぱり結構な力仕事なんだろうか。


「何で石工の爺さんが川なんか流れてたんだ? 橋でもかけてたのか?」

「それがとんと覚えとらん。いや少しばかり賭けに熱中しすぎてな。商売道具を取り上げられケツの毛までむしられて、それでも足りぬと命まで取られそうになって逃げてたのは覚えておるんだが」

「よし少年。捨てていこう」

「待て待てお嬢さん。それはあまりに薄情ではないか」


 借金まみれの爺さんだと分かり捨てる決心をしたらしいカムナと、全く慌てた様子もなく手を振りながら抗議する爺さん。

 とりあえずとんでもなく面の皮が厚い爺さんだというのは分かった。


「いやもうよくないか? そんなに悪い爺さんではなさそうだし」

「そーだそーだ。言ってやれ坊主」

「はあ。こんな爺様を助けて何の得があるんだい。施しても飯代すら返せそうにないじゃないか」

「……確かに」

「おいおい坊主。最後まで味方してくれんのかね」


 だって賭け事に熱中して死にかける爺さんだし。

 稼いだそばからオケラになってそうだ。


「いやこれでもその道ではそれなりに有名でな。地元に帰りさえすればまだ再起もできるのだ。礼は必ずするので少しばかりお恵みをくださらんかね」

「はあ。まあ確かに石工でアルフと言えば私も心当たりがあるけれど」


 そう言って、口の笑みを消してジト目を向けるカムナ。

 本当に有名なのか爺さん。口から出まかせ言ってんのかと。

 いや実はそのアルフさんとやらとは別人で騙ってる可能性もあるが。


「……とりあえず街につくまでは面倒をみよう。そこから先は自分で何とかしてほしい」

「おお、有難い。この礼は我が名に誓って必ずしよう」


 そう言って大仰に頭を下げる爺さん。

 カムナは納得したようだけど、俺は別の意味で心配になってきた。

 大丈夫かこの爺さん。


「さあ話もまとまったことだし飯を食おう」

「あつかましいなアンタ」


 訂正。この手の爺さんは殺しても死なないし長生きしそうだった。

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異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました
日本の神々の長である天照大神は思いました。最近日本人異世界に拉致られすぎじゃね?
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