1-13 精霊魔法
1-13 精霊魔法
「皆さんよくこの1年ついてきてくれました。今日から実践訓練に魔法を取り入れたいと思います。」
1年の地獄が過ぎた。
レオン先生の授業内容はひたすらに基礎訓練だった。体術と剣術は形、魔法は魔力総量をあげる瞑想、組手も基礎を組み合わせ、形を実践でどう活かすかをひたすら反復する訓練だった。
クラスの1/3が自主退学してしまったのも、きついだけじゃなくつまらないのも原因の一つだったと思う。
「皆さんももうお気づきだと思いますがEクラスは技法に特化している者が集まっています。ですが技法の真価は魔法と組み合わさった時こそ発揮されるのです。」
ほう……。というと……?
「精霊魔法という魔法があります。精霊魔法とは精霊を呼び出し、精霊を戦わせるイメージが強いと思いますがそれは魔法使いの戦い方です。」
ふむ……続けて……
「魔法使いは技法を使うものに比べて圧倒的に足りない者があります。なんだと思いますか?ゴリータ君」
「き、筋力だっぺ……?」
「不正解。腕立て1000回」
レオン先生はそこに座ることが当たり前であるかのようにゴリぽんの背中に腰掛ける。
「答えは手数です。彼らは技法使いに比べ圧倒的に手数が足りません。ですので精霊を召喚し、自動で攻撃させることによって手数を増やすのです」
なるほど…
「ですが私達技法使いにとってはそれは悪手です。接近戦で戦うことの多い私達では精霊の魔法に巻き込まれてしまう可能性が高いですからね。」
確かにそうだ。突きを当てに行って、後ろから火弾されたらたまらない…
「炎熱を纏い、敵を打ち滅ぼさん!炎帝龍サラマンドラ!」
先生の剣に纏いつくように、炎の龍が召喚される。
「熱いッぺ!熱いッぺ!!先生熱いッぺ!」
レオン先生は無視だ。慈悲はない…
「技法カマイタチ!」
先生のカマイタチにサラマンドラが炎を吹きかけ、火を纏ったカマイタチが発生した!
「おおーすげえ!」
道場の壁がはじけ飛んだ。これは金貨100枚は修理にかかるな……
「このように、私たちは精霊に自分の技法を強化してもらいつつ戦うことで、より技法を強化できるのです。では皆さん早速精霊契約をしてみましょう」
そんなコンビニ行ってきてみたいな感覚で言われても…
「そこにクレイマン先生に書いてもらった魔法陣があります。その上に座り、魔力を魔法陣に流してみてください。皆さんの魔力適正にあったものが召喚されます。ではやってみてくださいワン君からいってみましょう」
ワン君が魔力を魔法陣に流すと、青白く陣が光だし、緑色の小鳥が陣から飛び出してきた
「キュウゥゥ~」
おおー!と歓声があがる。フィーネさんショボいとかいうのはダメですよ。
「それは風鳥の雛ですね。今は小さいですがワン君と共に戦い続けることによって成長していきます。心配せずとも大丈夫ですよ。」
はい!と元気のいい返事をワン君が返す。あのままだったら詰んでるわよねとか言ってはダメですフィーネさん。
「では口づけをし、契約してください。それで契約完了です」
ワン君が風鳥に口づけをすると光の糸がワン君と風鳥の額を繋ぎ、消えた。
「では続けていきましょう」
皆、どんどんと契約を終えていく。小さな紫色の蛇や青い蝶なんかが出てきた。
フィーネは白銀の狼だった。2mくらいある。「雪狼」の成体らしい。
狼の額に口づけするフィーネは何か神秘的で美しかった
「何見とれてんのよ」
お、お前なんてべ、別に見とれてなんかいないんだからねっ!
ゴリぽんは因みにゴリラが出てきた。契約の口づけは部族の結婚式みたいだった。アーメン。
「さて、最後はカグラ君ですねではどうぞ」
あーなんか緊張するな。おっしゃー願い事を叶えてくれる緑色の龍をだすんだ。いっけえー!!
バチッ!バチチッ!
魔法陣から黒い稲妻のようなものがあふれ出す。
え?なによこれ?
「いけませんカグラくんッ!今すぐ魔力を止めてください!!皆さん離れて!!」
すると魔法陣から黒い女の形をした液状の何かが出てきた…
「魔女種だと!?カグラ君出てきてしまった以上は仕方ありません。すぐに契約を結んで魔女を抑え込んでください!急いで!」
なんだかよーわからんがこれやばい奴っぽいな!あーもうなるようになれ!こちとら一回死んどるんじゃー!!
黒い女の唇を奪う。すると体中の魔力が吸い出されて僕は体が動かなくなった…。
「プハー!ごちそうさま。ご主人様。」
真っ赤なパーティドレスに身を包んだ少女が僕を見下すように立っていた。