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略奪の鬼  作者: あきねこ
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1-12 剣鬼と娘

1-12 剣鬼と娘


遡ること10年前…


ガーグ村には代々続く掟があった……








それはー『剣鬼の儀』ー



村で最強の技法の達人を一人選び抜き、村の守り手としての使命を負う



村は初代長老の張った結界により守られているが絶対ではない。


村を囲む惑いの森には濃密な魔力が渦巻いており、魔物は魔力を餌にし、成長する…。


魔物には大きく分けて3段階の進化があるといわれている。



1段階目は成体。これは幼少な魔物が成長し、筋力や魔力が高まる。外見は幼少時の姿から大きくなるだけで、さほど変化はない。


2段階目は王化。体毛が変色したり、部位が異常発達したりと、通常の成体に近いものはあるものの外見が若干異なる。王化した魔物は〇〇ロードと呼ばれ、群れを率いている場合が多い。






そして3段階目…。固有化と呼ばれる進化。外見は元来と異なり、固有能力(ユニークスキル)が発現するといわれている。固有化した魔物は他と一線を隔す強さをもっている。



ここ惑いの森では魔力濃度が濃密なため、稀に固有化する魔物が出現する。




300年前…森蛇(フォレストスネーク)と呼ばれる魔物から固有化したと思われる魔物”石化眼の大蛇(ゴルゴン・バジリスク)”が出現し、村が半壊したことがあった。



その悲劇から、村最強の技法の達人を『剣鬼』とし、外開で10年の修行をすることを義務づけられている。


現剣鬼レオンは生まれたばかりの子供がいた。彼は剣鬼としての義務を果たすため幼い子供を妻に託し、外開者となった。



自分がこの子に与えられるものは何もない……だからせめて名前だけでもと




妻に似て美しい赤い眼に黒髪をもつこの子は、将来美人に育つだろう。だから美しい名前を与えよう。








その子を”フィーネ”と名付け、旅だった…。







「今更父親面しないで!!母さんの死に目にも来なかったくせにいまさら何よ!!」



僕はレオン先生の教官室に昨日の宿題を届けに行くと、怒鳴り声が聞こえた。


バンッ!!扉が勢いよく開く……




目にうっすらと涙をためながらフィーネが走り去っていった。





「これは……恥ずかしいところを見せてしまいましたね……。」



レオン先生は苦笑いする



「いえ、僕は何も聞いてませんよ」



僕も苦笑いだ。



「そうですか…ならこれは独り言として聞いてください…」



「娘はこの村に戻ってきた時から1度も笑うところを見たことがありませんでした」



「きっと父親なしで生きてきて、つらいことがたくさんあったのでしょう。5年前に妻がなくなり、それから一人で生きてきたんでしょうから」



「10歳にも満たない子が一人で生きていくには相当な覚悟が必要です。悪いこともたくさんしたでしょうから」



「ですがここ最近、彼女はかわりました…時々うっすら笑うんです。クラスメートの目つきの悪い男の子と話している時にね…」



「私には今更父親面する資格はありません。ですが私はあの子の幸せを願っています。」



「これからもあの子に笑顔を与えてあげてください…」



僕は軽く会釈し教官室を後にした。


************************


今日は午後から休みだ…。



久しぶりに、マキナとサクラとゴリぽんで狩りにでも行こうかなんて考えながら校舎をでると、屋上でぼんやりたそがれてる黒髪少女がいた…



「何たそがれてるの?」


僕は購買で買った焼き鯖パンを投げ渡しながらそういった。


「別に何でもないわよ…」



彼女は焼き鯖パンをキャッチしてそっぽを向く





「今日珍しく午後休みでしょ、ちょっと行きたいところがあるから付き添ってよ。魔物が出たりしたら怖いからさ」



フィーネは怪訝そうな顔をしながら


「別にいいわよ。どうせ一人でいてもやることないしね」




**************************


僕らは2時間程歩いて惑いの森北東にある小高い山林を登った


「ちょっとどこまで行くのよ!」


「もうすぐ着くよ」




ちょっとした崖があり、そこから村の全体が見える。夕焼けがきれいだ…


「僕はね、修行で行き詰まったり、嫌なことがあるとたまにここに来るんだ」



フィーネは村が夕焼けで真っ赤に染まる景色に感動してるみたいだった


でも見せたいのはそこじゃない……



「あそこにさ墓地があるの知ってる?村はずれにあるやつ」




「知ってるわよそれが何?」




墓地を見ると、男が一人墓の前で手を合わせてお供え物を置いていた



「あの人いつもこの時間に来るとああやって手を合わせて祈ってるんだよね多分毎日…いつきてもこの時間いるし」



「……」





「僕は死者なんて弔うなんて時間の無駄だと思ってるけど、よっぽど大切な人だったんだろうね…あんな村はずれに毎日来てさ」








「あんたってホント回りくどいわねっ」



フィーネは小さくつぶやいた


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