1-10 学校へ行きたくない①
1-10 学校へ行きたくない①
やあ人生Enjoy勢の皆さんこんばんは。カグラです。
君達は地獄というものを知っているかい?前世でひどい行いをしたものは地獄へと行き、輪廻転生をすることができないとかいわれてるあれね。
つまり転生を果たした僕は閻魔大王様基準で言うところの悪人ではないわけです。
ですが今僕は地獄にいます。そういうことですね。異世界に地獄があったのです。つまり生前での悪行がたたり僕はこの地獄に送り込まれたのでしょう。僕は地獄へと転生したのです。
「カグラ君リンガイア共和国の特産品はなんですか?」
「女です」
「不正解。腕立て1000回」
「Yes Sir」
レオン先生が担任となり早2ヶ月が経ちました。
クラスの1/3は自主退学。そして残る我々の寿命もあとわずかです。
レオン先生は鬼です。まあ鬼なんですけどね……。
まずEクラスはカリキュラムが他クラスと違います。
他クラスは基本的に複数の教師が科目ごとに授業を受け持ちます。
ですがEクラスは全てがレオン先生です。
体術:レオン先生、技法:レオン先生、世界情勢:レオン先生、魔法:レオン先生ですね。
次に服装ですね。学び舎では服装は自由です。
魔導士風なローブを身に着けているものもいれば、拳闘家風のもの、こじゃれた私服風のカジュアルなものもいます。
Eクラスは全員重鎧です。
重さ50キロぐらいあります。
まだね、まだ武術系の授業ではわかりますよ。
体力づくりの為とか基礎筋力向上とかね、メリットあるしね。
世界情勢の授業で重鎧って必要ある?
重いし熱いし授業内容全然入ってこないからね頭に……。
唯一解放されるのは昼休みです。昼休みの2時間だけは自由な服装で体を休めてもいいとレオン様からいいつけられております。
ですが僕には安息はないのです…。
「カグラ君お弁当作ってきたよ!一緒に食べよう!!」
「カグラ…サクラのよりもおいしいお弁当作った…食べて……。」
サクラとマキナが毎日お弁当を作ってくれるからです。
女の子に弁当作ってもらえるなんて天国じゃねえか!馬鹿言ってんじゃねえ!!と皆さん思うでしょう。
確かにおいしいのです。サクラのお弁当は手が込んであり、色々な味が楽しめる風味豊かな弁当、対してマキナは無駄な味付けをせずに素材の良さを引き出す弁当でとてもおいしいと思います。通常ならば!
僕たちEクラスは地獄のような特訓を終え昼休みに突入するのでご飯がのどを通らないのです。ですから皆果物をかじる程度なのです。
そんな中僕はボリューム感満点の弁当を食べます。2つも……。
レオン先生に一撃入れるだけあって俺らとは違うな…、あいつ化け物かよ……なんて声が1割、マキナさんの弁当を残したら殺す…、サクラちゃんを弄びやがって糞が…なんて声が9割です。
どうです?うらやましいでしょう……。
「どう?おいしいカグラ君!?」
「ウッぷ、とてもおいしいよ。天国へ行きそうだよ……」
別の意味でな……
「カグラが喜んでくれて嬉しい……ご褒美頂戴……」
マキナの頭を優しく撫でる
ギリッ…糞が死ねばいいのに…教室中から怨嗟が聞こえる…
「私も!私も!」
サクラの頭も優しく撫でる
呪術を唱えるのはやめろワン君…
「じゃあ私達そろそろ行くねクレイマン先生の授業の準備頼まれたから!」
「カグラ…また放課後…一緒に帰ろ……。」
そう言って二人は去っていった。
「モテる男は大変ね。」
隣の席の黒髪美人のフィーネがクスクス笑う。
「笑いごとじゃないよ……お腹パンパンで午後の地獄の特訓受けなきゃならないし、クラス中どころか他クラスや先輩からも嫌がらせされるわで大変なんだよ……」
贅沢な悩みね…とフィーネは笑う。
「はい…これ……。消化の実とレモネードよ。それ呑めば少しは楽になるわよ」
消化の実とは消化効率を急激にあげ食べ物を素早く吸収できる実だ。レモンの汁と一緒にとるとさらに効果が高まる。僕も吸魂の短刀を手に入れるまではずいぶんお世話になったもんだ。
「フィーネ!君は天使だ!」
手を握りながらそう言うと、フィーネはプイッとそっぽを向いて大袈裟よ…とつぶやいた。
耳が真っ赤だった。
これで今日も何とか地獄を乗り切れそうだ。