初キッス……やっぱ甘酸っぱい
オズ部長!? 俺は手を引っ張られるままに着いていく。
『オズ部長! 何? 何?』
『いいから来て』
神社の裏まで来た。他に人は居ない。
『幼馴染みを独りに出来ない』
『良いものあげる。目を閉じて』
『分かった、こう?』俺は目を閉じる。
すると、唇に生暖かいものが当たる。これって!?
俺は柊オズ部長にキスをされた。
お互い1歩下がる。
『私のファーストキスだからね』
『オズ部長…………』
『明日は土曜日だけど、部活に来てね。幼馴染みの所に戻って』
オズ部長は走って行ってしまった。これがキスの味…………レモンの味しないぞ? ネイビーの浴衣が似合ってたな……。いかんいかん。メルの元へ戻らないと。
『スカイ、こんなところに居た! 急に居なくならないでよ』
『スマンスマン』
『何をしてたの?』
『部活のブリーフィングだよ。さあ、花火の見える丘に行こう』
『うん』
俺とメルは丘に座り、打ち上げ花火を見ながら焼きそばを2人で食べる。
『2000円だけあって、ボリュームがあるな』
『私はもういい』
『5分の1くらいでいいのか?』
『お腹いっぱいだよ〜。あと食べて』
『仕方ないな』
俺は焼きそばを食べながら花火を見る。スターマインが始まった。凄い迫力だ。何千発もの打ち上げ花火が一気に上がる。復興の意味も込めて、盛大に開花する。
『スカイ、凄いね』メルの頬には涙が伝っていた。
『メル?』
『私、何で泣いてるんだろ? 変だよね、フフフ』
『……そういう時もあるさ』
最後に1発デカイ花火が上がって、お祭りは終わった。
帰り道。人混みが散っていく。
『メル、ちょっとスーパーマーケットに寄るから』
『うん。何買うの?』
『そうだな〜、焼き肉用のモツでも買うか』
俺はスーパーマーケットに入り、買い物カゴを持ち、精肉売り場に行く。客は疎らだ。中には浴衣姿の客も居る。
『スカイ、この味付けモツが安いよ。300グラムで1700円だよ』
『寿命なら25分か。早く大人になりたいな』
『食べ物を買うのに命を削るなんて怖いよ』
『18歳になれば嫌でもGLのお世話になるよ。メルの親の漫画は紙媒体でも重版されてるでしょ? 将来は安泰じゃん』
『曾祖父がギャンブルでちょっと使い込んでるけどね』
『GL依存症か』
俺は買い物を済ませ、メルを家まで送り届ける。
『また、来週ね』
『じゃあな』