人とって都合の良い地球の悲鳴
『虫というのはな、手段は判らんが、人口を大幅に減らすシステムだ。地球が悲鳴を上げている。いや、人類にとって都合の良い地球がな』
『理不尽ですね』
『手段が判らん以上、対策も現時点も無理だろう。君達は警察官という職を賭ける勇気はあるか?』
『私は首を賭けますよ』
『俺は元々窓際だ。惜しくもない』
俺は3人のやり取りを黙って聞く。
『いいだろう。ワシは退役してるから、それ以上の事は分からん。ここからは予想の話になる』
『話して下さい』
『肉体の寿命はおよそ250年、最高齢は283歳だ。虫はおそらく、資産としての寿命強制剥奪か殺戮をすると考えている。AIロボットに職を取って代わられる底辺労働者をターゲットにするかもしれん』
『GLが保証する秩序が乱れるわな』
『さっきも言ったが、人類にとって都合の良い地球が悲鳴を上げている』
『だからといって人類を減らしたら本末転倒では?』
『全人類120億人は地球に負担を掛けすぎた。日本もいずれテロの標的になるだろう。テロリストの本懐は“楽して結果を出したい”だからな。知恵という人間の最大の能力を扱えない猿と同じだ。テロリストは圏外で産まれるため、プラグがない。GLにログイン出来ない代わりに寿命は短いもののタイムアウトもない。もしかしたら、虫はテロリストを遣っての無差別テロかもしれんな』
『ついに世界政府とドンパチするか〜? もし、無差別テロだとしたら、食い止めようがないな』
『もう1つの懸念、寿命強制剥奪も厄介ですね。GLは世界政府の下部組織だ』
『そこで、スカイの出番だ』
『えっ!? 俺? じいちゃん、何を言ってるの?』
『ゆうこから聞いたよ。晴れてプロゲーマーになったそうじゃないか。虫のテストをしたらしいが、テロらしき事は日本では起きてない。おそらく、GLを使う線が濃厚だ。……ジャックと白木と言ったな? 君達はここ数年に妙なサイバー事件がなかったか洗い出してくれ。そこにヒントが隠されている。ワシが話せる事は以上だ』
『分かりました。署に戻って調べてみます』
『頼んだぞ』
――俺達はパトカーに乗り、俺のアパートへ向かう。
『どうやら、カケ造氏はボケてはなさそうだな』
『250歳だから、ちょっと怪しいけどね』
アパートの前に着き、俺はパトカーを降りる。
『GLで俺なりに調べてみるよ』
『分かった、くれぐれも気を付けてくれよ』
パトカーは署の方へ走っていった。入れ違いで積載車がアパートの前に停まる。




