寿命108年と契約書
俺はログアウトして、左の手のひらを見る。【108年7ヶ月と6日3時間40分】十分だな。
数字を見ながらニヤニヤしてると、ウェアラブル端末にメールが入る。ジャックからだ。【一度、飯田カケ造氏と話したい。明日会えるかい?】
俺はすぐに返信する。【明日は野暮用がある、その後ならいいよ。それとデイビットはどういう教育を受けてきた!? 口の聞き方がなっとらん】
【分かった。その野暮用が終わったら連絡をくれ。デイビットの事は済まないね、幼い時に母を亡くし甘やかして育てたから、ひねくれちゃったのかもね】
――さて、寝るか。
次の日の朝、リビングに行くと、ゆうこが朝ごはんを作っていた。
『スカイ様、おはようございます』
『ゆうこ! ついにプロ契約するぞ!』
『おめでとうございます。スカイ様のスペックなら当然ですね』
『ところで、じいちゃんのスケジュールは?』
『今、カケ造様は軍のネット会議で相談役をされてますよ。午後なら会えると思います』
『丁度いい』
俺はゆうこの手作りしょうが焼きを定食を食べて、GL中部支社にメールを送る。【飯田スカイと申す、昨日、サイバーエメリッヒ社の多田という人にスカウトされた。柊さんを出してくれ】
すぐに電話が掛かってきた。
『もしもし、GLの人?』
「スカイ……おはよう」
『やっぱりオズ部長だな? 情けなんていいのに』
「私の差し金じゃないわよ。GLにログインして。形式的なものだけど契約書を書いてもらうから。32番フィールドの会議室に来て。私とスカイしか入れないわ」
『分かった。すぐに行く』
俺はGLにログインする為に奥の部屋に行く。1人と1機じゃ100平米の3LDKは広いな。1階だから安いけど。
俺はGL筐体に座った時にメールが入る。メルか……。めんどくさい奴め。【昨日一緒にいた女は誰?】メルの奴、何を言ってるんだ?
【今、忙しいから】と返信する。
俺はログインして、指定された会議室に行く。
ドギマギしながら入ると1人の女性アバターが居た。「遅いわよ、スカイ」
『オズ部長……?』
「部長はやめてって言ったでしょ?」
『悪い悪い、つい癖で』
「詰めの契約をするわよ」オズ部長は数枚のページを俺の目の前に飛ばす。
『これが契約書?』
「隅々まで目を通してね」




