冷えたバーベキュー
俺はゆうこを連れて近山農園へ行く。歩いて12分くらいで門に着き、そこから広大な農園を通り抜けて木造建築の豪邸にたどり着く。殺されるかも知れないが、こっちもなんか引っ込みがつかない。俺はウェアラブル端末のボイスレコーダー機能をオンにする。いざという時の為。ゆうこはボディーガードだ。
豪邸の庭に数人の人影が見えた。カミユ先輩と大人が2人、ミノルの両親だな。それと、ツヨシ、メル、ミノル、…………ヨウヘイ!? 何で居る!? もう出所したのか?
『あっ! スカイ、遅いよ〜』メルがこっちに気付いた。
得物はなんだ!? 銃じゃないな。刃物…………包丁か。
俺はバーベキュー会場に入る。炭火のコンロが3つ、鉄板の上で肉や野菜が火にかけられている。折り畳みテーブルが4つ。
『おいおい、スカイ、何でAIを連れてきたんだ?』ツヨシ、とぼけやがって!
『別にいいだろ。ロボットにも散歩は必要だ』
『やあ、スカイ君。久しぶりだね』カミユ先輩。この人だけが頼りだ。
『こんばんは、スカイ君』ミノルの母親だ。
『どうもこんばんは』このババア、眼の奥が笑ってない。
『牛肉は焼けたよ〜。皆、食べて食べて』
皆はプラスチックの皿に焼き肉のタレを入れ、割り箸を持つ。
『はい、スカイの分』メルが箸と皿を渡してくれた。
『ほらほら、皆、早くしないと焦げちゃうよ』ミノルの父親は焼き係か。
『ゆうこ、下がっていてくれ』
『分かりました』ゆうこは家の縁側に座る。省電力モードだ。
俺は炙ったくらいの牛タンを皿に入れ、食べる。……美味い。皆も美味そうに食べてる。まるで何事もなかったかのように。
俺はカミユ先輩の近くへ行き『あのヨウヘイって奴がオズ部長を跳ねたんだよ』と耳打ちして指を指す。
『ハハハ、嘘だろ? だったら今頃はブタ箱入りだ。犯人が捕まったって聞いたよ?』
えっ。確かにそうだが、確かにオズ部長はヨウヘイに跳ねられたって言ってた。訳が解らない。




