崩れた歯車
次の日の昼、家でカルボナーラを食べてサッカー部の部室に行く。『お疲れ〜』
『やあ、スカイ君』カミユ先輩はまた【必勝】と書かれたハチマキを頭に巻いている。
スタートまで15分くらいか。オズ部長と佐久間先輩はまだ来てないのかな?
ガチャッと部室のドアが開く。チート監査員のトウコさんが入ってきた。『こんにちは』
『ちわ〜』
『まだメンバーが集まってないようですね』
――本選開始まで後、5分……遅い。
『スカイ君、先にログインしてよう』
『そうだね、分かった』俺は筐体に座り、プラグを挿してヘッドマウントディスプレイを被り、ウォーパークにログインする。
すごいアバターの数だ。観戦者だけで1500万人超え。
「お待たせ〜」佐久間先輩だ。
「佐久間、部長はどうした?」
「分かりません。ウェアラブル端末で電話掛けても出ませんでした」
『最悪この3人で戦う事も考えないとね』
「そうだね、無事だと良いけど」
「皆、お待たせ」オズ部長!?
『遅いよ〜、試合開始3分前だよ』
「細かい話は後よ。次に当たる【ファット・ドッグ】とは戦わずして勝てるわ」
「部長、どういう事ですか?」
「バグを利用してキル数を水増ししてたらしいわ」
『って事は準決勝進出?』
「ベスト4まで来た! 寿命25年は固いぞ」佐久間先輩は興奮してるようだ。
「ベスト4じゃないわよ? 本選は戦い方の質を問われる。不戦勝にはなったけど、次の試合の戦い方で決勝戦へ行けるかどうか決まるのよ」
『楽勝だね』
「そうもいかないわよ。本選のステージの特徴を肌で感じられてない。…………それと私は本選には出られない」
『何で!?』
「部長、何かあったんですか?」
「皆、一旦ログアウトして」
俺達は現実世界に戻ってくる。
オズ部長は右腕を押さえている。
『部長、その腕はどうしたんですか!?』
『多分、折れてるわ』
『えっ!? 病院へ行って下さい!』カミユ先輩は迫真だ。
『オズ部長、交通事故か?』綺麗な白い肌の所々に擦り傷が付いてる。痛そうだ。
『情けないわ……間抜けな終わり方ね』
『せめて、あと1勝しますよ。だから、病院へ行って下さい』
『佐久間……』
『トウコさん、救急車を呼んでくれ』
『もう呼んであるわ。部長は責任感が強すぎるようね。また来年頑張りなさい』




