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(第3章)進学


 そして、復興が始まった。ツヨシの親は大きな建設会社の社長だ。津波が引いた後、2ヶ月程で建物は大体建て替えられた。町をあげての復興だ。

 俺は震災の被害から逃れた校舎の教室で授業を受ける。5人で。教師は人型AI先生だ。

『では皆さん、知ってる英単語を言ってみましょう』AIが言う。

『日本人はな、礼に始まり礼に終わる。英語は“でぃす いず ざ ぺん”に始まり、これはペンです、で終わるんだよ』ツヨシはひねくれてるな、アハハ。

 バン! AIは教壇を手のひらで叩き、『真面目に授業を受けなさい』

『おいおい、AI先生。ロボット工学三原則を知ってる?』

『飯田! 黙りなさい!』

『このロボットは壊れてない? ツヨシ君、ボコボコにしちゃいなよ』ヨウヘイがけしかける。

『ボコボコ? そっちこそロボット工学三原則を知ってるのか?』AI先生は怖い口調で言った。


――そんな感じの楽しい日々が過ぎ、いよいよ中学生になる。卒業式はなかった。喪に服す。5人は同じ中学校に進学する事になった。

 全校生徒1200人くらいの中高一貫校だ。

 俺は初登校の日にメルが迎えに来た。『おはようございま〜す』

『メル、おはよう。いつでも行けるよ』

 2人で川沿いを歩き、中学校に向かう。

『ねえ、スカイ……今夜はお祭りがあるでしょ? 一緒に行かない?』

『地元の祭り? 良いよ。どうせ、暇だし。父さんが生きてたら、今頃はバージニアに居たのに』

『ペンタゴン? おじさん……早く見付かると良いね』

『あれから半年は経つよ。生存は絶望的だ。慎ましく遺族年金で暮らしてる』

『ご先祖様が空軍のトップだったんでしょ? スカイも将来、自衛隊に入るの?』

『そのつもりだよ。それとご先祖様って、まだ生きてるよ。俺はひひ孫にあたるのかな?』

『スカイの遠い先祖は雷電為右衛門って本当?』

『どうかな? 大関以上になれば寿命に困らず生活出来るね。角界も良いな』

『力士は向いてないよ。サッカーがいいんじゃない?』

『そうか! サッカー部に入ろう』

 俺達は7〜8分で中学校に着く。盛大に……とは言えないが、上級生が新入生を歓迎してくれている。

『部活は決まってる? 野球部、どう?』上級生が声を掛けてきた。

『いや、サッカー部に入るつもりだから』

『サッカー部!? 本気か? やめといた方がいいよ〜。夢を追いかけるより、体を動かすのがマシだよ〜』

 何を言ってるんだ? コイツら。

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