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(第2章)大震災、津波


 俺(飯田スカイ)が小学生の時にお父さんが死んだ。殉職だ。自衛隊のレンジャーだったが大震災が起きて津波に流された。俺も死ぬところだった。


――俺が小学生の頃、平日の14時22分に大震災が襲った。一昔前なら“南海トラフ大地震”と呼ばれていたものだ。全校生徒教員合わせて374人は近くの運動公園に移動となったが、俺は教師の指示を無視して、小高い山に逃げる。お父さんは大地震が来たら高台に逃げろと言っていた。

『飯田! 待て! 皆と同じ行動をとれ!』教師が追ってくる。

『政府の陰謀だろ!? わざと人口を減らす! 地震は格好のタイミングだ!』

『何を訳の分からないを言ってる!? 戻りなさい!』

『死にたい奴だけ死ねばいい!』

『公務員の子供なんだから、いい子にしなさい!』

『ウザっ、ヘドが出る!』

 俺は教師に服を掴まれた時に払いのけ、腹を蹴り高台から突き落とす。教師の足下の水かさが急激に増す。津波で運動公園は水没した。

 追ってきた教師も津波にのまれ『助けてー! 死にたくないよー!』と泣きわめきながら木にしがみつく。

『雑魚が!』

『飯田! 助けて〜!』

 俺は教師を見捨てる。自業自得だ。

――運動公園に集められた児童と教員は皆、亡くなった。しかし、俺を含め5人の6年生児童が生き延びた。

 メル、ツヨシ、ヨウヘイ、ミノル。

 メルは風邪をひいて学校を休んでた。今時、風邪なんて珍しい。

 ツヨシとヨウヘイは学校をサボってゲーセンでVRサバゲーをプレーしてた。

 ミノルは家の用事で学校に来てなかった。


――俺は高台から更に山を登る。見下ろすと町は滅茶苦茶だ。ギリギリのところまで水位が来てた。

 俺のウェアラブル端末が鳴る。

「地震発生、地震発生。津波に注意して下さい」

『もう津波にのまれてるよ! 政府め!』

 俺は母さんに電話を掛ける。出てくれ! 無事でいてくれ!

 ピッ。「スカイ? そっちは大丈夫?」

『皆、死んじゃった。お母さんの方は大丈夫?』

「私やひいおじいさん達は無事よ。家が山頂で良かった。スカイは今どこ?」

『運動公園の近くの山にいるよ』

「そう、すぐにお父さんを呼ぼう」

――父さんは原因は判らないが駐屯地から出動して津波の犠牲になった。

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