軽度GL依存症
『そのチップをプラグに着けるの? 痛くない?』
『チクッと痛いかもね、ハハハ』
カミユ先輩は試験管の栓を開け、チップを取り出す。
『それを着けると、具体的にどうなるの?』俺はちょっと不安だ。
『後ろを向いて。これを着ける事で年齢だけ15歳になるよ』カミユ先輩は俺のプラグの蓋を開ける。痛い。
『大丈夫?』やっぱり不安だ。
『一度自分で試してる。安心して。着けるよ』カチッ。
俺は一瞬、全身に電気が流れたような衝撃を受ける。意識が飛ぶところだった。
『スッゴい痛いじゃん』この野郎!
『ハハハ、これで優勝間違いなしだね』
『知らないわよ』
『部長、今の内に作戦を確認しておきましょう』
『私が突撃、カミユ君は遠距離支援、スカイは中距離支援ね』
『それだけ? もっと綿密に作戦を立てた方が良くない?』大丈夫かな?
『ああ、スカイ君は知らなくて当然だね。ジュニアオリンピックの予選、本選は毎年、複数のステージが作られてその中からランダムで戦場が決まるんだ。GLの正式な情報だから間違いない』
『それなら、作戦なんて大雑把でいいか』
『もう18歳問題なんて吹っ飛ぶね』
『でもバレたら寿命を大幅減額じゃないの?』
『スカイ君は12歳にしてはガタイが良いし。そもそも、年齢を下にサバ読みするのがマズイ』
『じゃあ、これから1ヶ月間、1日30分の特訓よ。責任は私がとる』
――俺はオズ部長の家にあった中古の筐体を貰い、毎日、寝る前2時間くらいウォーパークをプレーした。オーバーワークなのは分かっていたが、早くオズ部長に近付きたかった。接近戦はハンドガンじゃ威力が弱い。遠距離戦はスナイパーライフルじゃ連射出来ない。中距離戦のアサルトライフルが合っていると実感する。オズ部長は消去法で俺を中距離支援にした訳じゃない。俺の総合的な特性を見抜いていたんだ。
3万キルを超えた、ある日。俺は授業中に教室で倒れた。
――気が付くと、保健室のベッドの上だった。
『スカイ、目が覚めた?』
『メルか…………急に意識がなくなった』
『軽度のGL依存症だって。もう! 何やってるのよ! 心配させないで!』
『すまん、メル』
『1日どれくらいやってるの?』
『20分かな』
シャン! とカーテンが開く。白衣を着たケバいアラサーのおばさんが入ってきた。
『1日20分な訳ないでしょ。保健教諭の華子よ。もし、12歳で中度以上のGL依存症を発症したら一生治らないわよ。正直に話しなさい』
『…………1時間』
『そんなに?』
『全く。飯田スカイ、しばらくはGLにログインしない事ね』
嘘を吐こう。どうせ事故申告だ。
『は〜い、分かりました〜』
『嘘ね。嘘を吐くのは依存症の特徴よ。本当は2〜3時間はやってるでしょ』
くっ、お見通しか……。




