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258歳の大往生


 次の日の朝、俺は目が覚めると8時15分だった。ダルい体で起きて…………ゆうこの残骸を処理しないとな。あっ、カケ造じいちゃんの事を忘れていた。見舞いに行かなきゃ。

 ピピピ。俺のウェアラブル端末にメールが入る。誰からだろう?

【飯田カケ造様のご家族ですね? カケ造様は今日未明に亡くなりました。死因は老衰です。御遺体は葬儀場へお運びいたしました。中部病院、上田医師より】

 虫の知らせってヤツか。俺は呆然となる。じいちゃん……いつの日か来るって分かってたけどさ。

――その日の昼。俺は一応、喪主を務める。GLに繋いで、リアルタイムで葬式が中継され、香典という名の寿命が振り込まれる。カケ造じいちゃんは元航空幕僚長だ、多くて1年、最低でも5時間の寿命が数万件も寿命銀行の俺の口座に振り込まれる。口座にはトータル120年の寿命が貯まった。倫理観が希薄になったと叫ばれる現代にしては温情を感じる。

「飯田スカイさん、現航空幕僚長の森田です。御悔やみ申し上げます」個人専用ボイスチャットだ。

『いえいえ、258歳の大往生ですから』

「私は若い頃にカケ造様にしごかれましてね。今となっては良い思い出です」

『カケ造じいちゃんは虫を追っていた。森田さん、何か知らない?』

「カケ造様が……まさかな。スカイさん、ソラリスに逃げなさい」

『空中都市を知ってるのか』

「カケ造様が現役を引退されてた後にスタートしたのがソラリス計画です」

『俺だけ、おめおめと逃げる訳にはいかない。人類120億人を救わなければ』

「君は物理的なモノを超えられるとでも言うのですか!?」

『虫は俺が止める』

「……分かりました。ソラリスがキャパシティオーバーになる前に避難して下さいね」

――俺はカケ造じいちゃんの遺骨を飯田家の墓に埋葬する。カケ造じいちゃんの家からもう少し山を登った所にある。

 一般人では葬式すらしてもらえない。大昔はどんな人でも亡くなると葬式をしてくれたそうだ。今の時代は有名人しか葬儀をしない。それに大切な人が亡くなったら、泣くそうだ。俺には解らない。

 ゆうこの残骸も飯田家の墓に埋葬して後にする。

――俺はアパートに戻ると、宅配ボックスがパンパンになってた。食料が来たか。

 俺は部屋に入り、食料を冷蔵庫に詰める。冷蔵庫がパンパンになったな。

 ピピピ。俺のウェアラブル端末にメールが入る。今度は誰だ? メルかよ、こんな時に!

【私もウォーパークⅩのスカイ軍に入ったよ。総合力ってヤツ? 私がナンバーワンだよ】

 バレバレな嘘を吐きやがって。

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