サトルとカニパン
俺は空を飛んで集落へ向かう。
「スカイ、聞こえるか? 近くに居るんだな?」
『サトルか、今そっちに向かってるよ』
「カニパンがオーケーしてくれた」
『良かったじゃないか。力士の倍春菊関も所帯を持つようだ』
「倍春菊? 角界一のウォーパークプレーヤーか」
『そんなにスゴいの?』
「倍春菊は総合力が高いよ。短いプレー時間で280キル4ダイだ。集落を取り返すのに一役買って出てくれた」
『謙遜したんだな』倍春菊関は50キルくらいだって言ってた。
「えっ?」
『いや、こっちの話だ。サトルもスーパーモードを発動させたのか?』
「ああ、3回ほどね」
『スゴいな、俺なんて1回発動させたら1時間くらい意識が飛んでたよ。そろそろ集落に着く』
集落は7軒くらいの民家が建っており、真ん中に渇れた川や橋ががある。今のところ一番ホットな拠点だ。虫とのドンパチが絶え間なく続いてる。川の南側の橋から1軒目が指令室だ。
「スカイ、来たか。僕のバランス型アバターだとスーパーモードを発動させやすいみたいだ。しかし、3秒って縛りは厄介だよな」
『俺は20秒だよ』
「アームテンタクラーは脳にかなりの負荷がかかる。ましてやスーパーモードなんて。20秒もよく耐えたな」
『脳を酷使するのには慣れてるから。アームテンタクラーの仕様は気に入ってるし』
「ジュニアオリンピックの事か? 12歳で初代ウォーパークの大会に出るなんて無茶を」
『あれはヤバかったな、アハハ』
「GL依存症になるぞ? 極力スーパーモードには気を付けろ。死んだら意味がない」
『そうだな、分かったよ』
「ここは人数をかけてるから、スカイの出番はないよ」
『なんだよ、戦わせてくれよ。全く』
「ハハハ、最前線にトップランカーが十数人も行ってるからな。衛生兵が足りない。本国の柊オズに頼んでくれないか?」
『分かった、オズに言ってみるよ』
俺はアームテンタクラーのブースターで飛び、採掘場に移動する。
『オズは居るか?』採掘場の屋根で寝そべってるプレーヤーにボイスチャットをする。
「……はっ! スカイ様、失礼しました!」
『休息も必要だ。オズは?』
「オズ司令官なら採掘場の指令室に居ると思いますが」
『そうか、ありがとな』
俺は採掘場の北側の建物に行き、中央にある休憩室に入る。オズが居た。ログインもしてるようだ。
『オズ、ちょっといい?』
「あら。スカイは総合力ナンバーワンになったわよ」
『そうか、あんまり実感が湧かないけど』
「それで、用は何? 急用?」
『拠点、集落に衛生兵の拡充を頼む。サトルからの依頼だ』
「分かったわ、佐久間部隊を行かせる」




