さよなら、ゆうこ
俺はアパートに着いた。一晩離れてただけなのに、ずいぶん久しぶりに感じる。GTRとNS1は無事だ。
アパートのドアに鍵がかかってる。中にゆうこは居るかな? 俺はウェアラブル端末をドアにかざして中に入る。
『ゆうこ! 帰ったぞ!』
『お帰りなさいませ、スカイ様』普段通りだ。
『じいちゃんは元気だったか?』
『それが…………』まさか……まさかな。
『亡くなった?』
『そうなるかもしれません』
『どういう事だ?』
『今、カケ造様は危篤状態です』
『何があった?』
『虫による被害です。……私がやりっ……やりました』ゆうこの調子が悪いな。
『ウォーパークⅩは後だ。ゆうこ、ドックへ行くぞ』
『嫌です“リサイクル”は嫌です』
『解体はしない。ウィルス感染してないか調べるのと、ソフトを新品に移してもらおう』
ゆうこが襲いかかってきて、両手で俺の首を絞め、スタンさせようとしてる。殺す気はないようだ。
『ごめんなさい、スカイ様。女王の命令には背けません』
『優しいよ、ゆうこ……』俺は苦しく声を絞り出す。
俺はゆうこの両腕を掴み、腹を思いっきり蹴り飛ばす。ゆうこは両腕が肩からもげて踞る。
『スカイ様…………私を破壊して下さい!』ゆうこは攻撃をやめない。脚2本だけで立ち上がり、体当たりをしてきた。俺はもげた、ゆうこの腕で頭を思いっきり殴る。
「ピーピー…………システムをダウンします」ゆうこは崩れ落ちた。
『ふうっ、ゆうこまで虫に感染してたか』
俺はゆうこの背中のハッチを開けてソフトを抜く。これで立ち上がることはない。
カケ造じいちゃんは心配だが……あっ! ばあちゃんは無事かな? しかし、今はウォーパークⅩだ。
俺はゆうこの残骸をまたぎ奥の部屋に行き、GLにログインする。
ウォーパークⅩのフィールドには多くのプレーヤーが【新規さん、衛生兵になって回復お願いします】とチャットをしていた。
すると、かんちゃんというプレーヤーが「そこの貴方! 衛生兵になって僕を回復させてくれませんか?」とボイスチャットが来た。コイツはどこかで見たことあるような?
『虫を何匹キルした?』
「虫? 敵のAIの事? 7匹だよ! 1匹をキルすると24時間の寿命が支払われるんだ。君だって寿命が欲しいだろ? 僕と組まないか?」一般プレーヤーに真実は伏せられてるか。
『俺はアームテンタクラーだよ』
「あ〜あ〜、素人がやりがちな課金だね。リセットした方がいいよ。アームテンタクラーはよっぽど才能がないと無駄だよ」
『俺は無課金だよ』
「は? 何を訳の解らないこと言ってるの? トップランカーじゃあるまいし」
『アハハハハ。片腹痛いわ、雑魚が! 俺は120匹以上キルしてるよ』
「何!? ……よく見ると、ユーザーネーム、スカイだと!? もしかして、スカイ軍のリーダー!?」




