オーバー・ザ・フェンス
――俺は気が付く。白い天井、白い壁、カーテンが開いていたから陽の光が眩しい。夢か…………いや、身体中が痛い。本当の出来事だろう。
『ここはどこだ……』
『目が覚めたようね』
『誰だ?』女の声。ベッドの脇に居るようだ。
『またアナタを看ることになるとはね』
『俺と知り合いか?』
『飯田スカイ、アナタが12歳の頃、GL依存症を発症した時に看た元保健教諭の華子よ』
『華子先生!?』
『バイクは用意されてるわ。ここは圏内と圏外の干渉地帯、数キロメートルも行けば圏内に入れる』
『警察に捕まるよ』
『もう鬼頭GL日本統括委員長は圏外に逃げたわ』
『それなら、逮捕状も取り下げられてる?』
『そうね』
『ビビったか、あの野郎!』
俺は起き上がる。
『さあ、行きなさい。世界の危機を救うんでしょ?』
『ゲートはどうする? オーバー・ザ・フェンスは簡単にはいかない』
『それはアナタが考える事ね。迷ったとか適当に言っておけば?』
『分かった』
俺は立ち上がり、歩ける事を確認してから、外に出る。ドームじゃない、ログハウスだ。オフロードバイクが1台停まっていた。
俺はそれに乗り、ナビを確認する。俺のアパートが設定されていた。至れり尽くせりだな。……父さん、次は負けない!
俺はバイクのセルを回し、ギアが1速に入ってることを確認し、クラッチを繋ぎ、走り出す。
――俺は山道を20分ほど走り、ゲートに着く。ゲートを通らなければトラップに引っ掛かる。
「そこの男、何をやってる? そこは圏外だぞ」コンクリートの壁からスピーカー音が鳴った。
『いや〜、参った参った。オフロードバイクで走ってたら、楽しくなっちゃって。ここは圏外なの?』俺はテキトーなことを言う。
「被曝する前に圏内に戻りなさい。ゲートを開ける」
ゴゴゴゴ――。ゲートが開くと、迷彩服姿の自衛官が1人来た。
自衛官は放射線汚染検査器で俺の体とバイクを調べる。
『被曝はしてないようだな。罰金を取るから左手を出して』
『えー、そんな〜』
『文句を言わない! 左手を出して読み取り機にかざして』
『いくら取られるの?』
『寿命1ヶ月だよ』
『そんなに〜? 仕方ないな〜』
俺は読み取り機に左手をかざす。ピッ。
『なんだよ、103年も持ってるじゃないか。1ヶ月なんてはした金だな』
『じゃあ通っていい?』
『ああ、行きなさい。2度と来るなよ』
俺は再びオフロードバイクで走り出す。




