message 2 バーサス・メテオーラ(前)
この星……第9遊星サーラフでは、メテオーラ戦闘は珍しくもない。
痰がからんで吐きたくなるほどのいらいらが常に絶えない。
そんな環境だからこそ、星の人々は、争いのある生活習慣癖が治りやしない。
ここにいる二人の青年たちも同じだ。戦えば、名誉挽回になるものと極めてはメテオーラというマシンで世の中が変わるものと自信持って言える。
テラシーデラセルの指揮する惑星支部の戦隊に入隊なんて形だけだ。セルト青年の場合は、ハンドメイドを売って生活を安定させるだけで構わない。しかし、リンクシー青年は、姉探しの短縮ルートで、入隊するので、かなり本気らしかった。
「テラシーデラセルってさ、なんていうの? 商業神とか言うじゃない? いくら義姉さんのためだからってね、サイハート埋め込められた人間は単なるお飾りの人形だろう?」
「サイハートの犠牲者かも知れない。あのテラシーデラセルという存在は、絶対に許さない‼」
「この辺りの山賊さんに狩られるはずだろうな。キャンプはうかうかできないぞ。念には入れてかからないとマシン強盗にやられてしまうぞ」
「さっきの一人は囮か? 今度は組織的に動きそうだしな」
「リンクシー、もう乗るな。君はすぐに酔うだろ?」
「酔わないように努力はする」
「あちゃー。メンテ時の目まいだって、怖かったんだ。ふらついてさ。不安だよ、このセルト様……俺はな」
「セルト、ビークルで引き戻してくれ。僕はメリアウスで試験会場まで行ってくる」
「連結導線がぶちギレても責任持たないからな」
「新しいスプリングは螺売り師を訪ねて、導線代理に利用するさ」
「おたく、ホント変り者だよ」
「よく言われるね」
「あははははは……」
その晩、野宿せずにハンドブロー(リボルバー形体の銃器)を引っ提げ構えながら山賊道(人の出入りが激しくなると、道が出来上がることから)を渡ったリンクシーとセルト。
一方、山賊アジトでは、リーダーシップほこるマダンという筋肉男が仕切っていたのだ。
夕方に偵察していた仲間の男が帰投してきた。
「ただいま戻りました。手ぶらですみま……」
随時の報告が途絶えた。
マダンの鉄拳が報告人の額を激しくヒットしたのだ。
「くだらん。偵察ごときで武装の一つも持ち帰らぬ間抜けめ。メテオーラ一台もかっさらえぬとは情けない。誰か代わりの者はおらんのか?」
「あたしなら出来るわ。スパイぐらいやってみせる」
「エナム・レアースか? やれるか?」
横槍入れて、エナムとの間に割り込んだ年相応の婦女が提案を出してきた。
「こんな若娘じゃ時間の無駄です。わたしがエナムと作戦して入り込みます」
「頼もしいな、ゼワル。では、二人で作戦をしてみせるがいい」
「はっ、マダントライブの名の元、ただちに……」
腑に落ちないエナムは、モノローグを付け加えてゼワルを睨み返した。
(何あのおばはん‼ ふざけるなよ‼)
「何を膨れているのだ。エナムはわたしのお荷物レベルなんだ。しっかりしな‼」
「なっ……(何様のつもり、このおばはん)」
一方、リンクシーたちは山賊らしき影がビークルマシン周囲に向かう動きを察知し、尾行をはじめたのであった。