7.一里
久しぶりの投稿ですw
まだ投稿は不安定ですが今後とも宜しくお願いします!
少年には目立った外傷は見られなかったが服の中に怪我があるかもしれないと思い、少年に一言断りを入れてからアニエスと一緒に調べることにした。
幸が足の裾を捲ろうと手を伸ばすと小さな悲鳴が聞こえた。
「どうした!」
「ゆきさま、ここを…」
アニエスの指さす場所を見るとそこにはいくつもの大きな痣ができていた。
もしやと思い足の裾を捲るとそこにも痣はあった。
「酷いな」
まだ全てを確認した訳ではないがこの感じだと他の部分もこんな風に痣ができているだろう。
それにしても相手は剣を持っていたはずだ。にもかかわらず痣だけで済んだのは幸運だと思う。
私じゃ無理だ。いくら毎日鍛えててもこの程度の傷で済ませるのは不可能だ。
(強いんだろうな…)
「一度、手合わせしてみたい」
「ユキさん…?」
「!…なんでもない」
幸は慌てて自分の口に手を当てた。
(私はいま何を……)
いや、そんなことよりも今は少年のことだ。
痣だけとはいえこのままの状態で放置をしていく訳にもいかない。とりあえず医者に診せた方がいいのだろうか。
しかし街に行くにはどうしたらいいのだろうか。きっとここから遠い場所にあるに違いない。
どうするか迷っていると幸の肩に何かが触れた。
「ユキさん、ここから一里ほど先に王都があります。それと小さいですが診療所も」
「そうか」
一里、たしか一里は約3.9㎞だと授業で聞いたことがある。
空を見上げると日はまだ真上にあった。今から出発すれば日が沈む前に辿り付けなくもないか。ならば―
「アニエス、王都まで案内してくれるか」
「はい!ですが、お兄様は―」
「問題ない」
そういうと幸は竹刀を袋にしまい肩に掛け、少年の真横に回り込む。
左手を背中に、右手を膝の下に入れるとそのまま持ち上げた。
「私が運ぶから問題ない。では、案内を頼む」
「は、はい!」
それから村に行く間、アニエスはずっと顔が赤かった。
後で熱がないか測っておかなくては…。
♦♢♦
(ど、ど、どうしましょう!!)
ここだけの話、ユキさんは初めてお会いしたときから、その、男らしいといいますか、ほ、惚れてしまいそうになったとかゴニョゴニョ―
って、私は何を思っているのですか!うぅ恥ずかしい…。
アニエスはこっそりと自分の少し後ろについてきている幸を見た。
(ユキさんがお兄様をお姫様抱っこを…)
お姫様抱っことは、普通は男性が女性にするものだと思っていたのですが、ユキさんの国では逆なのでしょうか。
今度聞いてみましょう。
あ、お兄様にはこのことは内緒にしておかないと!
私だけの秘密…なんだかドキドキします!