1.少女
(そもそも何故この様なことになってしまったのだろうか)
私は幼馴染である絵梨と一緒に帰っていたところ絵梨が疲れた~と駄々をこねだしたので公園で休むことになった。
ベンチに座って少し落ち着いたかと思ったら今度は喉が渇いたと言い出すではないか。
面倒くさいからスルーをしていたがあまりにもしつこいものだから買いに行くことにした。
自動販売機で私の分と絵梨の分を買い戻ろうとしたとき、何かに躓いた。
反射的に地面に手をつこうとしたがそれは出来なかった。
本来あるべき地面がそこになく大きな穴だけがあった。
「なっ」
幸は成すすべなく穴の中へと落ちていった。
気が付くと森の中にいた。
訳が分からずその場で呆然と突っ立っていると前方から小さな少女がタックルをかましてきた。
体格的に幸の方が上だが突然のことだったので踏ん張ることもできずそのまま倒れこんでしまった。
幸は自分の上に載った少女を抱きかかえながらゆっくりと体を起こした。
「大丈夫?」
声をかけると今まで硬直したように動かなかった少女は慌てて体を離した。
しかし引っ張る勢いが強すぎたのか尻餅をついてしまった。
幸は立ち上がり服に着いた土を払い落とし少女を助け起こすために手を差し出した。
「え、え」
少女はかなり混乱しているようで戸惑っていた。
幸は出来るだけ女の子を刺激しないようゆっくりと優しく声をかけた。
「手を貸して」
今度はもう少しだけ手を近づけると理解したのか手を伸ばしてきた。
恐る恐る重ねられた手を優しく握った。
「引っ張りあげるよ」
少女がうなずいたのを確認し一気に引っ張り上げた。
その時に少し勢いが強かったのか体をふらつかせたが、なんとか立った。
服の後ろについている土を払ってやり髪についていた葉も取ってやった。
「大丈夫?」
もう一度声をかけると今度は返事が返ってきた。
「すすすすすみません!急いでいたので全く気付かなくて…」
まだ二話目ですが早速読んでくださっている方がおりびっくりしております。
今はまだほのぼのとしていませんがこれからしていきたいと思います。