白取優真
拙い文字ですが、お楽しみいただけたら幸いです。
「はぁっ…はぁ………っ」
少女の真っ黒な髪を、木々の隙間から彼女を照らすように金色の光が降り注いでいた。
艶のいい髪が、月の光を受けてなお一層美しく映えていた。
「……っ!」
声を押し殺しながら、目から涙をこぼしながら彼女はただ、闇の中の森を1人で駆けた。
ただ、独りで。
「ふぁぁぁ…」
(今日もいい天気だな…。)
「お〜〜〜〜〜い…。」
(今日の昼飯は中庭で日向ぼっこしながらでもいいかもな)
「おいっ!!白取 優真!!私の授業を睡眠時間に変換し起きたと思えば大きなあくびをし、加えてぼーっとするとは……」
目の前に現れたのは、竹中先生(34)。結婚よりも、仕事。仕事。仕事。で、まだ独身であるにも関わらず、未だに仕事が大事という。実に変わっていr.....
「ごふぁっっ!!!?!」
「うるさいぞ」
「僕は何も言ってませんよ!?」
「心の声が聞こえてなぁ…?」
「スイマセンデシタ…」
本当のことを言われたからって、ムキになるとは竹中先生もこどm.....
本日二回目のパンチで僕の意識は再び、夢?の中に落ちていった…。
「ん……。」
見上げた先には沢山の星が綺麗にかがや……
「んんんんんんんんんんんんん!!!!!???」
外だった。
「あっはー、これはこれは、まだ夢の中かな!」
あまりの寒さに気が狂いそうだ。
「夢に感覚は…無いだろうな…。」
竹中先生に殴られて、気がついたらもう夜なうえに、お外でゴロゴロ。
「さて、寝るかぁー…」
こういう時は朝になるまで待つのが一番と考え、(実際は眠いだけだが)再び寝ようと仰向けに転がった
ところに、何かが近づ……
「きゃぁっ!!?」
踏まれた。
「みぞおちクリーンヒットぉぉぉおおおおおおおおお」
みぞおちを。
人体の急所である、みぞおちを。
「ごめんなさいっ」
堂々と人のみぞおちを踏んだ何かはそのまま、走り去っていった。声からして女の子。とても可愛い感じがするっ!!!
「ったく…。何を急いでるのだか……。」
わからんなー。と、言われるはずの言葉は紡がれなかった。
「……可愛い女の子を追いかけまわして、何の用なのかな?」
ざわああああああ…
風のせいで木が揺れる。
「もしかして、『君ら』ってストーカー?」
ニコニコ笑いながらも優真は制服の内ポケットを手で探る。
「だめだよ?こういうことは……」
『僕の目の前でしちゃぁ……』
斜め右方向の木の後ろに一人、正面の木の後ろに一人、左とその隣に各一人ずつ…
「的確に、外さないように、素早く…。」
制服の内ポケットの中のミニナイフを投げた。
通常なら木にあたるであろうソレは、木を通り抜け目標に刺さる。
「ふむ。今夜は頑張って帰るかぁー。」
少年は何事もなかったように、帰路に帰る。
その場には、4本のナイフ以外には何もいなくった。
白取 優真。彼の通う学校は、少しではなく、凄く特殊であり『対魔物討伐』を教えられる学校だった。そんな中でも優真は特別クラス、異能学科の生徒である。授業中こそ寝てはいるものの、学校内では一番の成績を持っている。
「さて、竹中先生に報告しに行くかぁー…」
今夜もまた、魔物を倒したのでした。