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初恋リア充  作者: 執事
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章子~出会い~

9月、夏休み後の登校初日。

「おはよう、木絵(このえ)。夏休みどうだった?」

「あ、おはよう。ムッチャエンジョイしたよ。章子は?」

「右に同じく」

私の名前は、藤原(ふじわらの)章子(呼ぶときは、普通に“ふじわら”だけどね)。中学二年。平安時代に活躍した「藤原氏」の子孫。私の友達、(たいらの)木絵(木絵も呼ぶときは、“たいら”だよ)は平安時代に後半に活躍した「平氏」の子孫。「平氏」一族には生き残りがいたらしい、(木絵情報)。私の先祖「藤原」一族も生き残りが十本の指で数えられる程しか居なかったけど、なんとか頑張って今にも至る。

木絵とは中学で出会った話すうちにお互いの家の事を知って、今では大親友なのだ。

「そういえば、転校生が来るみたいだよ。章子知ってた?」

「えっ、初知りです。男子?女子?」

「さぁ、そこまでは分からない。今日の集会で発表するらしいよ」

集会?随分大きくやるんだなぁ。今までは教室で挨拶していただけなのに…どっかの社長の子供なのかな?

しかし、私の予想は大ハズレ。だって、私達の学校に転入してきたのは…

「キャー!大和(やまと)だぁ!?」

「すげー!!」

そう、大物俳優の徳川(とくがわ)大和。安土・桃山時代から江戸時代に活躍した「徳川氏」の子孫。実は、私今日まで「徳川大和」という俳優の存在を知らなかったのだ。

だって、テレビってあんまり見ないし、雑誌なんて論外。

「静かに!式の途中だから静かに!」

司会の先生がマイクをビンビンに響かせているが、歓声にかき消されていった。それもそのはず、大物俳優が舞台(ステージ)の上に立っているのだから、叫ばない人は大和を知らない人か(私)興味がない人(私)だけだろう。

大和がマイクを口に近付け口を開くと、歓声が一気に止まった。

「初めてお目にかかります。徳川大和です。お目にかかれて光栄です」

そう言うと天使の微笑みがごとく、ニコッと笑った。その瞬間、バタンと誰かが倒れる音やすすり泣く声が聞こえてくる。

私は、ボーっとステージの方を見ていると、後ろに座っていた木絵が声をかけてきた。

「何?どうしたの?」

なるべく木絵に近付いた。そうでもしないと歓声に消されてしまうからだ。

「どうして大和さんは“初めてお目にかかります”って言ったの?」

「私も詳しくは分からないけど、前世では会ったことがあるかもしれないけど、現世では初めて合うねって意味だったような気がする。“はじめまして”は日本語としては失礼だって本で書いてあった気がする。ちなみに、“お目にかかれて光栄でございます”がもっと良い日本語とも書いてあった気がする」

「へー」

木絵はそう言うと、自分の位置に戻った、そして何故か前のを見て固まった。

「どうしたの?」

私の問いかけに斜め右前を口をパクパクさせながら指差した。

「?」

私が木絵の差した方を見ると、そこには仁王立ちで腕を組んでいる大和の姿があった。いつの間にここに居るんだろうと、冷静に考えていると、やっと我に返った木絵が、

「何で居るの!」

と、耳がキンキンするくらい大きな声で叫んだ。

「俺、このクラスってさっき言ったよ。聞いてなかったの?まぁ、人が話をしている途中で後ろを向いたキミと話かけたキミには聞こえなかったかもね」

うわー、すんごくムカつく。確かに、話てたのは悪いと思ってるけど、そんなに皮肉を込めて言うこと無いじゃん!それより、よく私達が話てるってわかったなぁ。まぁ、いっか。

大和は自分の言いたいことだけ言うと、男子列の一番後ろに座った。私はその後ろ姿を睨みつけた。


朝礼が終わり、教室に戻った。

「改めまして、徳川大和です」

全員が席に着いて落ち着いたところで、大和からの挨拶となった。

「それでは、徳川さんの席ですが、藤原さんの隣の席です。後で学級委員2人に校内を案内してもらってください。」

「わかりました」

大和はみんなに一礼して自分ぶんの席に座った。大和の席は、一番後ろの窓側。私の席はその右隣。木絵の席は一番前の廊下側。一番離れている。

気まずい。朝礼しっかり聞いていれば良かった。そしたらもっと気軽に話ができたかも…

「はー」

私は溜め息をついた。何でついたのかは自分でも分からない。

でもこの溜め息がこれから起こることの原因になってしまう。

デビュー作です。

喜んでもらえたら、これ以上の幸せは(あるかもしれませんが、いまのところ)ありません。

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