表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

〜異世界編〜結 (コラボ)

物凄く暗く…悪寒がする。

ここはガナルヘイム。使い魔はあらかた先方兵士が片付けたのであろう、戦闘は全くなかった。途中で馬車が岩に当たったくらいで後は問題はなかった。


女神「しっかし…ここはいつ来ても慣れないのお…」


浅那「お前ここに来たことあるのか?」


女神「浅那がこのに来るずっと前にの。」


俺「女神って今何歳何だ?」


女神「ほぉ…お主、女に年齢を聞くのか?」


女神が今にも襲いそうな剣幕でこちらを睨みつける。


俺「め、滅相も御座いません!」


ハイム「随分と騒がしいものだな。少しは静かに出来ないのか?」


梓「こいつ、ウザイ。」


ハイム「な、何と無礼な!ウザイと等と低俗な言葉をこの私に吹っかけるのか!!」


女神「お主も大概じゃのう…」


と、突然馬車は止まった。


馬車騎手「ここから先は馬車では通れません。徒歩での移動。お願いいたします。」


ハイム「ご苦労だった。気をつけて帰るのだぞ。」


馬車騎手「はっ!ご武運を。」


そして俺らは馬車を降りアザトースの所まで歩く事にした。


女神「道が険しいのう…後続兵士はバテ取らんか?」


兵士「大丈夫であります!」


浅那「兵士の皆さん。アザトースとの距離はそう遠くはありません。各々歩きながら万が一の為に準備しておいてください。」


浅那は統率を取るのがすごく上手い。ぶっちゃけこの統率力があれば社会のリーダーとしてやっていけるであろう。


俺「くっ…」


突然体が熱くなり意識が遠のいてきた…


女神「お主、大丈夫か?バテたのか?」


ドゥン!と言う音と共に俺の体は突然遠くなった…いや、これは俺の体ではない…

厳密に言えば俺の体を模した何かだった。


女神「ん?お主が…2人?」


梓「え?なんで分裂してるの?」


俺「は?俺…いや、お前は…まさか?」


俺の形をした何かは形を変え、赤い龍のようなものに変貌した。


フレイ「ふっ…昨日ぶりだな…」


俺&女神「「フレイ!」」


俺&女神「「フレイを知っているのか?」」


フレイ「すごいハモり様だな…」


この時のシンクロ率は80%を超えていたであろう…いや、そう言う事ではなく女神もフレイの事を知っていたらしい。


女神「何故お主がフレイの事を知っているのじゃ?」


俺「コイツが俺で俺がコイツだってフレイが…」


フレイ「久しぶりだな…」


女神「ふっ…皮肉のつもりか?」


何やらフレイと女神は普通ではない関係らしい


フレイ「お前ら、アザトースを討伐しようとしているのか?」


俺「そうだ。悪いか?」


浅那「何事です?」


ハイム「お主!何者だ!」


フレイ「我が名はフレイ…戦の神だ。今は訳あってコイツに…正確に言えばコイツの持っているこのオーブの中に入っている。今はコイツの結界が薄まってこの姿で出れたという訳だ。」


とフレイが指をさしたのは女神だった。


フレイ「さて…この呪いを解いてもらおうか…」


女神「いやじゃ…と言ったらお主はどうするんじゃ?」


フレイ「お前を殺す。」


ほぼ即答だった。


ハイム「何を言っているか分からんが…私達は今からアザトースを討伐するのだ。貴様…敵なのか?」


フレイ「この呪いを解けば仲間になってやっても良い…」


ハイム「始末してやる。」


ハイムは目にも止まらぬスピードでフレイに接近した…が、フレイはそれを上回るスピードでハイムの背後に移動し、そしてハイムに絡みついた。


ハイム「ウグッ!」


女神「奴を離せ!」


フレイ「交換条件だ…この呪いを解くか、コイツを殺すか。」


俺「汚いぞ!何故そんなことをする!」


フレイ「時間が無い…決めろ!」


女神「分かった…まずはハイムを離せ。」


フレイ「いいだろう。」


フレイはハイムを離した後、女神が出した魔法陣に包まれた…そして出てきたのは神話の絵本でも見たことがあるような神々しく、しかし罪人にも見え、男にも女にも、聖人にも悪人にも見える…全てが矛盾し混沌としているような存在であった…


女神「これでよかろう…」


フレイ「あぁ…これで良い。しかし…先ずはお前を殺す!」


俺&浅那「「やめろ!!」」


俺と浅那は女神の前に立ち、守る様な体制をとった。


フレイ「ほう…お前ら邪魔をするのか…」


俺「女神が何をした!何故殺すん…」


フレイ「お前には分からん…一生掛かってもな。」


その時俺は不意に全てを、俺の全てを否定された気がした。この居心地の悪さ…気分が悪くなる。


梓「アンタにも分かるわけ無いわ!この人の事を!」


梓が俺をフォローしてくれた。少しは気が軽くなった気がした。


フレイ「お前…半妖か…?」


梓「ふぅん…アンタ…神って言ってたわよね。その位は見破れるのね…」


フレイ「何を言いたい…」


梓「分かったわ。一昨日のあの出来事が。何故この人が火を纏って素手でシアエガを倒せたかが。」


フレイ「察しが良いな…」


俺には理解できなかったが少しは悟った。つまり靈体融合でって事だろう…


俺「そうか…あの時はお前が助けてくれたのか…」


フレイ「今更例を言って何になる…そこをどけ小僧。」


俺「何故…何故だ?あの時俺が死んでたら女神も死んでお前はその呪いが解けたはず…」


疑問しか浮かばなかったが…


フレイ「小僧の言おうとしたことは理解した…だがしかし、俺はコイツを殺す。」


ハイム「それは嘘だな!」


フレイ「なぜ分かる…」


少しフレイは戸惑ったようだ


ハイム「お前の目を見れば分かる。目は全てを語ってくれるのだ。お前が女神を殺したように見せかけてハルスの世界から離脱しようとした事もな。」


フレイ「クッ…」


どうやらそのとおりのようだ。


女神「つまり…どういう事じゃ?」


ハイム「察しの悪い女神様だ…つまりフレイは女神様をどこか安全なところに隔離しようとしたのだよ。」


女神「何故…何故じゃ?」


俺や浅那、梓はまるで話に付いていけなかった。


フレイ「…」


女神「言え!」


フレイ「お前は…俺の…」


フレイが言いかけた所で大きな地響きと共に奥から禍々しい咆哮が聞こえてきた…俺は直ぐに分かった。最悪だ…アザトースが覚醒してしまった。


フレイ「ふっ…こんな時に…倒して欲しいようだな…」


と、フレイは空中から焔を纏った剣を出し、背中から炎の翼を生やした…


フレイ「我が剣…レーヴァテイン…すまぬな、ロキよ。そしてシンモラよ…今使わねばならぬのだ…許せよ。」


女神「…それは…」


フレイはレーヴァテインを手に取ると物凄いスピードで尾を引きながら奥へと飛んでいった…

俺たちは直ぐに後を追ったがそこには惨状が広がっていた…

先方兵士と思われる兵士たちは皆頭を取られて後はバラバラだった。血も全て吸い取られているようだった。

そしてその先にあるのは…フレイと闘っている禍々しい姿であった…

如何なる姿にも言えない…宇宙の原罪そのものだった。

フレイが猛攻を掛けるも…まるで歯が立たない。


梓「ひどい…」


浅那「許さない…クソッ!!」


女神「では…行くかの…」


ハイム「皆の者!我に続けぇ!」


兵士「オォォォォォ!!」


その中で魔導兵士が浅那の近くに行き


魔導兵士「浅那中尉…これを…」


スレイプニルを魔法陣の中から出した。

その姿は馬だが、脚が八本あり機械仕掛けの様な物だった。


浅那「ありがとう…我が祭神オーディーンよ…スレイプニルとグングニルに力を…」


浅那に光が纏った…とその時浅那の左目が突然潰れた。しかし浅那は動じない…浅那の姿はそのままだったが存在が違うような気がした…まるで神のように…


浅那「さぁ!行くぞお主ら!戦争に於いて勝利とは死のあるものである!」


浅那の人が変わった様だった…

そして浅那はアザトースの元へ一閃となって向かって行った。


女神「ふふ…これは美しい…お主、不思議に思うじゃろ?これはオーディーンの武具を身に付ける事によって引き出される浅那…いやオーディーンの真の姿なのだ…元々浅那の中にはオーディーンが宿っておった…お主と同じ様なものじゃな…それで妾は浅那をここに連れてきたのじゃ…」


女神がこれとなくうっとりしている…確かにあの姿は魅力の塊でもある。


ハイム「覚醒したか…おい!後衛部隊!弾幕が足りんぞ!チッ、来るか!陣形、シンフォニー!」


ハイムは指揮をし、兵士がテンポ良く攻撃をする。まるでオーケストラの様だ。


俺「あ、そう言えばあのオーブないからマホ使えなくね?」


と言った瞬間フレイがこちらに高速で飛んできた。


フレイ「クソッ…コイツ…」


俺「なぁ…フレイ…」


フレイ「なんだ?小僧。」


俺「靈体融合ってお前が俺に付けるように誘導したんだろ?」


フレイ「如何にも。」


俺「フレイ…お前はシアエガを一人で…しかも一回の攻撃で倒せたか?」


フレイ「知らぬ…だが…」


俺「お前は言ったよな…俺はお前、お前は俺だって…コイツにも一度試してみようぜ…」


フレイ「…小僧…覚悟は?」


俺「勿論だ…」


フレイ「では…やれ!」


俺「ウォォォォォォ!!!」


俺は咆哮しながら靈体融合のアビリティを発動した…そしてフレイと融合した。


後に聞いたがその姿は焔を纏い、翼を生やし火竜の如き装甲を身に着けていたらしい。


俺「レーヴァテイン…力をくれ…」


その瞬間、レーヴァテインは2つの剣へと分裂した。

片方はレーヴァテインそのものだが、もう片方はレーヴァテインとと同じ大きさの様な剣だったが、形はまるで違っていた。


フレイ「アスカロン…か…これはお前の剣か。なるほどな。」


俺「アスカロン…」


俺がそう言うとアスカロンは反応し、青い焔を纏った。


俺「なぁ、女神、梓…これで最後かもしれないが…一つ伝えとくよ…ありがとう。」


梓「嫌だよ!必ず帰ってきて!」


女神「帰ってくるのが一番じゃの。後でフレイにも用があるしの。」


フレイ「つくづく嫌な奴だ…まぁ無事に帰ってきたら付き合っても良いが。」


女神「行ってこい。」


梓「頑張ってね!」


そして俺らはアザトースの元へと飛び立った。

…のだが…


ハイム「チッ…ここまで…か…」


兵士「クソッ!力が…」


浅那「まだだァァ!」


浅那と数名の人しか戦っておらず、他の兵士たちは皆負傷していた。

死んでいるような兵士も数名いた。

惨状が広がっていた。許せない…悔しい…


俺の感情の針が振り切れた。それはフレイも同じだった。


俺「なぁフレイ…」


フレイ「分かっている。」


と、即座に俺らはアザトースに一閃…

だがやはり無理だった。

その間にも兵士は一人、また一人と死んでいく。こんなのはもう見たくない。


殺してやる。殺してやる。コロシテヤル…コロシテヤル…ユルサナイ!!


焔を纏ったレーヴァテインとアスカロン。その2つで斬りまくった。しかし…アザトースには効かない。と言うよりもアザトースへのダメージは少しも無い。

不可解に思った。何故斬っているのに斬った感触が無いんだ?おかしい…


浅那「コイツに物理攻撃は効かない!マホを使え!」


俺「分かった!」


しかし2人ともマホを使う余裕もない。

どうすれば…


とその瞬間に相手の動きが止まった。


女神「早く奴に攻撃しろ!」


女神が止めているようだ。拘束マホなのか?そんなことはどうでもいい。俺は即座にマギ・デ・フィアロンを唱え…アザトースへ攻撃した。

効果はあったようだ。そこに畳み掛ける様に浅那が上空にグングニルを投げ、魔法陣を発動し光の槍の雨を降らせた。


アザトースの姿が少し、また少しと小さくなっていく。


この調子だ…と思った瞬間、女神がアザトースに飲み込まれた。


女神「きゃぁぁぁぁ!」


浅那「おい!」


女神が飲み込まれた。その瞬間にアザトースは巨大な物へと変貌し辺りの物を吸い込み始めた。


ヤバイ…このままじゃ…


浅那「てめぇぇぇぇぇ!!!」


浅那はアザトースへと駆け上がり、槍を投げ入れた。その槍は光り、そして衝撃波を放ちながらアザトースの中に消えて行った…


浅那「な…」


言葉にもならなかった。無音で吸い込まれた。まるで意味がなかった。


浅那「嘘だ…ろ…?」


終わった…俺らは絶望した。宇宙の原罪。全ての絶望を司る邪神。アザトース。俺らでは太刀打ち出来ない…


フレイ「絶望するにはまだ早い!」


フレイだけは諦めなかった。


フレイ「おい!小僧!覚悟して来ているんだろう?ならば俺に身を任せろ!」


俺「何をする気だ?」


フレイ「玉砕は華。死と引き換えに勝利を得るのは昔から美学とされた。」


そうか…


アザトースを殺すにはその方法しかない…


梓には悪いけど…




覚悟。



それが必要なんだ。



俺とフレイは初めて心を一つにした。





さぁ…行くか。






俺らはアザトースの内部に入り…







俺&フレイ「「破砕せよ!全ての邪神の元凶よ!その身を賭せ!我が魂よ!」」


俺はマホを体内で大量に生成し…そして最大限に溜まり…それを超過して…






白く、紅く、大きく、灼熱に包まれ…



その瞬間に梓の声が聞こえたような気がした。




すまん…梓…



一筋の涙を流しながら、





爆発した…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ